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2025/02/04

飲食店開業の資金はいくら必要?資金調達方法と自己資金の目安や補助金・助成金制度まとめ

  • 飲食店開業支援
飲食店開業の資金はいくら必要?資金調達方法と自己資金の目安や補助金・助成金制度まとめ

飲食店を開業する際、店舗や設備を確保・運営するための資金が必要になります。

しかし、具体的にいくら準備すれば良いのか、自己資金がなくても開業する手段はないのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、飲食店を開業する際に必要な開業資金や自己資金の目安、自己資金0円での開業は可能か否かを解説します。

また、記事後半では開業資金調達の方法や、開業資金を抑えるポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

飲食店開業時の初期投資に必要な自己資金の目安

硬貨が詰まった瓶を両手で包んでいるイメージ

飲食店開業時の初期投資金額は、約1,000万円が目安といわれています。あくまで目安であり、個人経営の小さな店舗や物件コストが安い地域などであれば、約300万円~500万円でも開業することは可能です。1,000万円以上かかることもあるので、あくまで目安と考えておきましょう。

運転資金や当面の生活費を確保する必要があることから、開業資金は資金計画を立てた上で余裕をもって準備しておくことが大切です。およそ半年~1年分の運転資金・生活費を確保しておく必要があります。

開業資金のうち、自己資金は約3割~5割程度準備しなければなりません。資金調達の方法はいくつかありますが、融資を受ける場合も自己資金を準備できている方が通りやすくなります。

開業資金の内訳

飲食店の開業にかかる資金の内訳は、以下の通りです。

費用項目費用目安具体例
物件取得費300万円~500万円
※家賃の10倍ほど
敷金礼金・保証金・仲介手数料など
内装費100万円~1,000万円
※1坪あたり30万円~50万円
床や天井・壁などのリフォーム代
設備費100万円~300万円コンロや業務用冷蔵庫など厨房機器
人件費100万円~従業員の給与
備品代100万円~200万円客席テーブルや椅子・メニュー・食器類
レジ設備・決済端末など
運転資金300万円~500万円家賃・光熱費・仕入れ代・機器のリース料金など
生活資金100万円~200万円当面の生活費

費用の目安は、店舗の規模や導入する設備によって大きく変動します。そのため、実際に開業資金の試算を行う際は、物件の費用や導入したい設備の価格などを考慮して算出することが大切です。

自己資金0円でも飲食店は開業できる?

結論からいえば、自己資金0円で飲食店を開業することはできません。一部の特殊なケースを除き、自己資金なしで開業するのは難しいと考えておきましょう。

どれだけ少なく見積もっても、300万円程度は準備しておく必要があります。もし自己資金が少ないのであれば、飲食店として店舗を構えるのではなく、キッチンカーで開業するのも選択肢の1つです。

キッチンカーであれば、約100万円~200万円ほどの自己資金でも開業できます。キッチンカーから始めて資金を貯めたり、商品の試作品を提供して顧客の反応を見たりするのもおすすめです。

飲食店を開業する際は、可能な限り余裕をもって資金を準備しておきましょう。

自己資金が小額だと苦しくなる原因

ここまで、飲食店を開業する際には余裕をもった自己資金の準備が必要だと述べてきました。では、なぜ自己資金が小額だと飲食店の開業は難しいのでしょうか。

ここからは、自己資金が小額だと苦しくなる原因や開業費を多めに準備しておくべき理由と、少額資金で開業した場合のリスクについて解説します。

初期投資でなくなってしまう

少額の自己資金で開業すると苦しくなるのは、初期投資の時点で資金がなくなってしまうからです。

「最新設備を導入したい」

「メニューをたくさん用意してお客様の選択肢を増やしたい」

など、開業にあたって自分の希望をすべて叶えようとすると、予定していた開業資金の金額を上回る可能性もあります。そのため、余裕をもって資金を準備しておき、予算を超える可能性があると意識しておくことが大切です。

運転資金が足りず収益が出るまで耐えられない

運転資金が足りず収益が出てくるまで経営を維持し続けられないのも、自己資金が小額な場合に苦しくなる理由です。飲食店は、開業直後から収益が黒字になるケースは珍しく、経営が安定するまでには時間がかかります。

収益が伸びてくるまでの期間は、運転資金を自己資金でまかなわなければなりません。小額資金で開業すると収益が伸びてくる前に資金繰りができなくなり、閉業に追い込まれる可能性が高くなります。

そのため、開業資金は余裕をもって準備しておきましょう。

飲食店開業時の資金調達方法

メモを取る人と積まれた硬貨

飲食店の開業資金は、自己資金以外にも調達する方法があります。開業資金の約3割~5割ほどの自己資金が準備できたら、資金調達を始めると良いでしょう。具体的には、以下の方法です。

  • 金融機関から融資を受ける
  • 自治体の融資・助成制度を活用する
  • クラウドファンディングを行う
  • 信用保証協会から融資を受ける

それぞれ活用方法や、注意点について解説します。

金融機関から融資を受ける

金融機関から融資を受けて、開業資金を調達する方法があります。銀行で融資を受ける方法もありますが、日本政策金融公庫が提供している創業者向け融資など、新規開業者向けの融資制度を活用する方法もおすすめです。

日本政策金融公庫の創業者向け融資なら、融資実績がない新規開業者でも無担保・無保証で融資が受けられます。限度額は最大7,200万円まで、設備費用については20年、運転資金は10年以内の返済が必要です。

自己資金なしでも融資申請を行うことは可能ですが、審査に通らない可能性が高くなります。ある程度の自己資金を準備した上で、事業計画書を準備して融資を申し込みましょう。

自治体や国の補助金・助成金制度を活用する

自治体や国が提供している創業者向けの補助金・助成金制度を活用するのも、選択肢の1つです。補助金・助成金制度は、融資ではなく返済不要で資金提供が受けられる制度のため、開業資金の負担軽減に役立ちます。

開業時に活用できる補助金・助成金制度は、以下の通りです。

  • 新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
  • 事業再構築補助金
  • 地方創生起業支援事業
  • 創業助成金(東京都)

上記の他にも、自治体が独自で設けている制度を活用できる場合があります。ただし、申し込みには申請要件を満たしている必要があるので注意しましょう。

また、開業後に活用できる補助金・助成金制度もあるので、チェックしておくといざというときに活用できます。

クラウドファンディングを行う

クラウドファンディングで、開業資金を募る方法もあります。クラウドファンディングとは、プロジェクト(ここでは飲食店の開業)に賛同してくれる人をインターネット上で募り、不特定多数から資金支援を受ける方法です。

クラウドファンディングは基本的に、資金支援を受ける見返りとして、自店舗で利用できる飲食のクーポン券やオリジナルグッズなどを提供します。

そのほか、自店舗の看板商品を冷凍で配送することも可能なので、クラウドファンディングを行う際は、魅力的なリターンを準備して資金を募ると良いでしょう。

信用保証協会から保証を受ける

開業資金を調達するには、信用保証協会から保証を受ける方法もあります。信用保証協会は、中小企業・小規模事業者向けの融資や金融円滑化のために設立された公的な期間です。

信用保証協会の保証を受けていると、金融機関からの融資が受けやすくなります。開業者が万が一銀行から受けた融資を返済できなくなったときに、信用保証協会が代理弁済を行う制度です。

信用保証協会から保証を受けるには、信用保証協会と金融機関の両者から「融資返済能力がある」と、認めてもらわなければなりません。

しかし、保証が受けられれば資金繰りのハードルが下がるので、検討してみると良いでしょう。

飲食店の開業資金を抑える3つのポイント

飲食店の開業資金を抑えるポイントは、以下の3つです。

  • スモールスタートを意識する
  • 居抜き物件を借りて自分で改装する
  • 設備は中古品やレンタル・リースなどを活用する

上記のポイントを意識すると、資金面でどのようなメリットや効果があるのかを解説します。

スモールスタートを意識する

飲食店の開業資金を抑えるには、スモールスタートを意識して店舗を開業することが重要です。スモールスタートは、規模の小さな店舗から始めて、収益が伸びてきてから少しずつ規模拡大につなげる方法を指します。

開業時点から大きな規模の店舗でスタートすると、開業資金が1,000万円以上かかり、月々の融資返済金額も大きくなるためです。

また、万が一開業失敗した際に、膨大な金額の融資返済が残る恐れもあります。スモールスタートであれば、月々の返済が抑えられる上に、失敗しても建て直しができる範囲の資金負担で済むので、まずは小さな店舗から始めると良いでしょう。

居抜き物件を借りて自分で改装する

飲食店の開業資金を抑える選択肢として、居抜き物件を借りて自分で改装する方法が挙げられます。居抜き物件とは、店舗の内装や設備が一部残っている物件のことです。

飲食店を閉業した人が利用していた店舗に多く、内装をそのまま活用できるので、内装工事費の負担を軽減できます。また、壁の壁紙を貼ったり塗装したりする作業を自分でできれば、電気やガスなどの専門的な工事のみを業者に依頼する費用の負担で済むでしょう。

一方で、内装や設備などもすべて取り壊してある物件は「スケルトン物件」です。スケルトン物件は、自分好みの内装を作り上げられるメリットがある反面、内装工事費が高くなるので注意しましょう。

設備は中古品やレンタル・リースなどを活用する

飲食店開業時に導入する設備を中古品やレンタル・リースを活用して準備するのも、設備資金を圧縮して初期費用を抑えるポイントの1つです。

とくに業務用冷蔵庫やフライヤーなどの厨房機器や、レジ設備・決済設備などは中古で購入すると新品の半値以下になっているケースも少なくありません。しかし、中古はメーカーの保証が受けられない場合もあるため、おすすめはレンタル・リースを活用する方法です。

新品の設備を月額数万円から数十万円で導入できるため、購入費用の負担を長期的に分散できます。また、レジや決済端末などの中には、決済手数料の負担のみで導入できる設備もあるので、そのような設備を導入するのもおすすめです。

無料で導入できるレジ・決済設備については、以下の記事で解説していますので、こちらもぜひ参考にしてください。

参考記事:決済端末は無料で導入できる?おすすめ機種5選各社の特徴と選び方・比較ポイント

参考記事:【2025年版】タブレットPOSレジとは?無料で導入できるおすすめサービスを5選紹介

飲食店開業後に活用できる補助金・助成金制度について

飲食店開業後にも、活用できる補助金・助成金制度があります。制度によって対象となる要件が異なるため、必ず自店舗が申請対象に含まれているか確認しておきましょう。

  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金
  • キャリアアップ助成金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 雇用調整助成金
  • 働き方改革推進支援助成金
  • 両立支援等助成金
  • 65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)
  • 受動喫煙防止対策助成金

補助金・助成金制度は、制度ごとに申請期間が定められているケースも多くあります。申請期間内に申請できるよう、受付開始時期などの情報を収集しておくことが大切です。

まとめ

飲食店開業資金は、どれだけの期間営業し続けられるか、収益が伸びてくるのを待てるかを左右する重要なものです。少しでも早く開業したいと思うあまり、小額で開業すると資金繰りがうまくいかなくなる可能性も高くなるので注意しましょう。

余裕をもって開業するためにも、融資を受ける場合でも自己資金を十分に確保し、スモールスタートを意識して少しずつ経営基盤を固めていく方法がおすすめです。