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2025/07/31

飲食店開業までの準備・流れを徹底解説!必要な許認可申請・資格や資金・期間の目安

  • 飲食店開業支援
飲食店開業の準備

これから飲食店を開業したいと考えていても、具体的にどのような準備に着手すれば良いかわからない方も多いでしょう。

「開業までどれくらいの期間があれば準備ができるかわからない」

「具体的にどのような準備をすれば良いのか知らず、見落としそうで不安」

など、初めて開業する方にとって不安が多く出てくるポイントでもあります。重要なのは、具体的に何をいつ準備しておけば良いのか、全体像を把握することです。

そこで今回は、飲食店開業までの準備期間の目安や準備の流れ・進め方と、必要資金・許認可申請に加えて、取得しておかなければならない資格についても詳しく解説します。

目次

飲食店開業までの準備期間の目安

レストランのテーブルにセットされたランチクロスとカトラリーのイメージ

飲食店開業に向けた準備期間の目安は、半年~1年です。店舗の規模や準備にかけられる時間によっても変動しますが、初めて飲食店を開業するのであれば1年前から準備に着手しておくと良いでしょう。

ただし、自己資金の貯蓄に関しては、1年で目標額を達成できるとは限りません。そのため、開業に向けた資金準備は数年前から始めておき、開業に向けて本格始動するのは1年前を目途としておくとスムーズです。

小さい飲食店であれば必要資金も抑えられますが、規模が大きくなるほど必要な資金も準備工数も増加します。まずは、どのような規模・業態の飲食店を開業したいのかをイメージしながら、必要資金を算出し、自己資金の貯蓄を進めておくことが重要です。

飲食店開業に向けた準備の流れ

飲食店開業に向けた準備は、以下の流れで進めていくケースが一般的です。

  1. 開業する飲食店のコンセプト設計を行う
  2. 事業計画書を策定する
  3. 自己資金の貯蓄・資金調達・融資の申請を行う
  4. 商圏分析を行って出店場所を絞る
  5. 不動産屋で店舗物件を探す
  6. 料理・メニューの開発に着手する
  7. 店舗物件を契約する
  8. 店舗の内装・外装の施工を行う
  9. 厨房設備を選定して購入する
  10. 什器・備品類を調達する
  11. 必要な届出・申請手続きを進める
  12. 店舗スタッフの採用活動・研修・教育を行う
  13. チラシ配布・ポスティングで開業を宣伝する
  14. プレオープンする
  15. 業務オペレーションを改善する
  16. 開業する

状況によっては順番が変動したり、再手続きが必要になるケースもあるので、スケジュールに余裕をもって進めておくと良いでしょう。

開業する飲食店のコンセプト設計を行う

まずは、開業する飲食店のコンセプト設計を行います。業種・業態、ターゲット層、店舗規模、具体的な店舗のイメージなどを固めておきましょう。

事業計画書を策定する

コンセプトがまとまったら、事業計画書を策定します。事業の要旨や戦略、事業規模、資金計画、収益予測などをとりまとめたものです。事業計画書は融資審査でも提出が求められるため、事前に準備しておくとスムーズに対応できます。

自己資金の貯蓄・資金調達・融資の申請を行う

自己資金の貯蓄や資金調達、融資申請を行います。自己資金で開業資金を全額賄えるのが理想ですが、難しい場合は融資を受けて開業するのも選択肢の1つです。

商圏分析を行って出店場所を絞る

商圏分析を行って、出店場所をリサーチします。商圏分析は、出店地域のターゲット層の傾向を分析する手段の1つです。人通りが多い時間帯、世帯の傾向(単身・ファミリー・富裕層など)などを分析して、自身の飲食店のコンセプトにマッチする出店場所を探します。

参考記事:商圏分析とは?目的や重要性・具体的なやり方と無料の商圏分析ツールを紹介

不動産屋で店舗物件を探す

出店エリアが絞り込めたら、不動産屋で店舗物件を探しましょう。店舗の規模や立地のほか、賃料は予算内に収まっているか、という視点も重要です。固定費として捻出する負担の大きい費用になるため、身長に判断する必要があります。

料理・メニューの開発に着手する

料理・メニューの開発に着手します。店舗のコンセプトにマッチする料理・メニューになっているか、原価計算や販売価格の設定なども含めて検討しておくと良いでしょう。看板メニューの開発を行い、店舗の魅力付けやブランディングに活用するのも効果的です。

店舗物件を契約する

店舗の物件を契約します。店舗物件の契約には、敷金・礼金に加えて半年程度の家賃を前払いする必要があるため、まとまった資金を支出するタイミングです。

店舗の内装・外装の施工を行う

店舗物件の契約を終えたら、店舗の内装工事・外装工事を依頼して施工します。工事には時間がかかるため、早めに手配しておくことが重要です。

厨房設備を選定して購入する

自店舗に必要な厨房設備を選定して導入します。店舗の業態や取り扱う料理・メニューによって、必要な機器が変動するため、料理・メニューの開発段階でリストアップしておくのもおすすめです。

参考記事:飲食店開業に必要な厨房機器リスト&費用ガイド|失敗しない導入ポイントと新品・中古のメリットも解説

什器・備品類を調達する

飲食店の営業に必要な、什器・備品類の調達を行います。キッチンやパントリーに必要なものに加え、客席に設置するものも発注しておきましょう。また、レジ周りに必要なPOSレジや決済端末、券売機などの設備も早めに手配しておくとスムーズに導入できます。

参考記事:飲食店開業に必要な設備一覧|準備すべき備品や選定時の注意点を解説

必要な届出・申請手続きを進める

飲食店開業にあたり、必要な届出・許認可申請の手続きを行います。届出や許認可申請は、それぞれに手続きを行うべきタイミングが異なる点に注意が必要です。

店舗スタッフの採用活動・研修・教育を行う

ある程度開業に向けた準備が進められたら、店舗スタッフの採用や研修・教育を行います。ホールスタッフ・キッチンスタッフは何名程度必要か、業務オペレーションの流れや店舗の規模を踏まえて検討しましょう。

チラシ配布・ポスティングで開業を宣伝する

開業日時が決定したら、チラシ配布・ポスティングで開業を宣伝しましょう。オープン記念で割引クーポンやサービスチケットなどをチラシに付けておくと、集客効果が期待できます。

プレオープンする

知人や関係者を招いて、開業日よりも前にプレオープンを行います。プレオープンで業務オペレーションを実際に試しながら、改善すべきポイントを探します。オープン前にプレオープンの機会を設けることで、雇用した従業員にとっても実践練習を積む機会ができるため、安心して開業に臨めるでしょう。

業務オペレーションを改善する

プレオープンで出てきた業務オペレーションの改善点を開業までに改善します。不足している備品類があれば追加発注したり、従業員の動線を組み替えたりするのも効果的です。

開業する

いよいよ本格的に飲食店を開業します。事前に周辺の店舗に挨拶周りをしておき、他店舗の従業員や経営者と関係を構築しておくのも良いでしょう。開業後は、POSレジを活用して売れ行きを分析し、仕入れ量の最適化を図るとロスを減らして収益の最大化を図れます。

以上が、飲食店開業に向けた準備の一般的な流れです。準備が必要な項目や厨房機器・什器・備品類、許認可申請については、以下の記事でチェックリストを公開しています。こちらもぜひご活用ください。

参考記事:飲食店開業時のチェックリスト!準備の見落としを防ぐポイントを解説

飲食店開業に必要な資金の目安

山積みの硬貨から植物の芽が出ているイメージ

飲食店開業に必要な資金の目安は、1,000万円~1,500万円です。店舗の規模によって異なりますが、収益が伸びてくるまで経営に集中できるだけの費用を確保する意味でも、余裕をもった運転資金の確保が必要になります。開業資金を抑えるのであれば、前経営者の店舗設備・内装が一部残った状態の「居抜き物件」を活用するのも良いでしょう。

また、飲食店開業費用のうち、自己資金は300万円~500万円程度必要です。初めて起業する事業者向けに運営されている、「日本政策金融公庫」の創業融資を受ける場合でも、必要な開業資金のうち約30%は自己資金を準備しておかなければなりません。

日本政策公庫の創業融資は、自己資金0円でも申請は可能ですが、融資審査を通らない可能性もあるのである程度の自己資金を準備しておくことが重要です。

参考記事:飲食店開業の資金はいくら必要?資金調達方法と自己資金の目安や補助金・助成金制度まとめ

飲食店開業時に必要な許認可申請

飲食店開業時に必要な許認可申請には、以下のものが挙げられます。

届出の種類 提出場所 提出期限
開業届(個人事業主の開業廃業など届出書) 出店場所管轄の税務署 開業から1カ月以内
飲食店営業許可申請 出店場所管轄の保健所 店舗完成の10日前まで
防火対象物使用開始届 出店場所管轄の消防署 建物の使用を開始する7日前まで
火を使用する設備等の設置届 出店場所管轄の消防署 建物の使用を開始する7日前まで
所得税の青色申告承認申請書 出店場所管轄の税務署 開業から2カ月以内
給与支払事務所の開設届 出店場所管轄の税務署 給与支払事務所を開設してから1カ月以内
社会保険加入手続き 日本年金機構 開業後すぐ
雇用保険の加入手続き 公共職業安定所 従業員の雇用開始から10日以内
労災保険の加入手続き 労働基準監督署 雇用開始翌日から10日以内
食品衛生責任者の届出※要資格 出店場所管轄の保健所 管理者設置から15日以内
防火・防災管理者選任届※要資格 出店場所管轄の消防署 開業まで
深夜酒類提供飲食店営業開始届出 出店場所管轄の警察署 開業の10日前まで※深夜0時以降も営業する場合

開業する飲食店の種類や規模、業種・業態によって必要な届出の種類は異なります。すべて提出が必要とは限りませんが、自店舗に該当するものは計画的に届出書類を準備し、余裕を持って提出できるようにしておきましょう。

参考記事:飲食店開業に必要な届出一覧!開業届を出すタイミングと必須資格も紹介

飲食店開業に必要な資格

飲食店開業時に必須の資格は、以下の2つです。

  • 食品衛生責任者
  • 防火管理者

それぞれなぜ必要になるのか、取得にかかる時間の目安も含めて解説します。

食品衛生責任者

飲食店を開業する際は、食品衛生責任者の資格取得が必須です。保健所に食品衛生責任者の氏名を届出なければ、飲食店営業許可証が取得できません。

食品衛生責任者資格取得時に、対面での講義を受講する場合、基本的に1日講義を受けた上で判定試験を受験し、問題なければすぐに取得できます。

オンライン受講に対応している地域も多いため、詳しくは出店予定地を管轄している食品衛生協会のホームページを確認しておきましょう。

防火管理者

防火管理者は、防火設備設置・点検や消防計画を行うため、飲食店開業時に必須の資格です。施設全体の防火・防災についての責任を負うため、飲食店だけでなくホテルや旅館、劇場・他業種の店舗・病院などを開業する場合にも取得する必要があります。

店舗・施設の収容人数が30人を超える建物では、必ず選任必要になるため、小さい飲食店を開業する場合でも該当しないか確認しておくことが重要です。

300㎡未満の小規模飲食店を開業する場合は「乙種防火管理者」、300㎡以上の場合は「甲種防火管理者」の資格を取得する必要があります。

飲食店開業に調理師免許は必要?

飲食店開業時において、調理師免許は必ず必要な資格ではありません。経営者だけでなく、実際に調理に携わる場合も同様です。

調理師免許の資格を取得しておくメリットは、食品衛生責任者の講座受講が免除されたり、顧客からの信頼を得やすくなったりする点にあります。

必須の資格ではないものの、取得しておくと食材に対する正しい調理方法や、衛生管理に関する知識を身に付けられるので、余裕がある場合は取得しておくのもおすすめです。

参考記事:飲食店開業に必要な資格一覧|調理師免許の有無や届出の申請についても解説

まとめ

飲食店開業準備は、計画的に進めていかなければ見落としが発生する可能性があります。店舗を探し、導入する設備・備品類の選定を行い、資金調達や人材採用、各種届出の準備なども並行して進めていかなければならないためです。

初めて開業する場合は、1年以上前から念入りに準備を進め、直前になって時間に追われて準備の見落としが起こらないように対応していきましょう。

また、資金面では、飲食店経営者に向けて開業時や経営中に利用できる補助金・助成金制度を活用する選択肢もあります。設備導入費や開業費用の負担軽減を目的に、利用できる補助金・助成金制度がないか確認してみると良いでしょう。

参考記事:【2025年最新】飲食店開業に利用できる補助金・助成金制度まとめ!自治体独自の制度も紹介

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