防犯カメラを導入する際、多くの人が気にするのは本体価格や工事費といった初期費用ですが、実際の運用では「ランニングコスト」も無視できません。継続的に発生するコストは、録画方式や保守契約の有無、台数によって大きく変わります。
ランニングコストを正しく把握せずに導入すると、「思ったより費用がかかる」「運用を続けられない」といった事態にもなりかねません。この記事では、防犯カメラにかかる主なランニングコストの内訳を整理し、維持費の相場やコストを抑えるポイント、クラウド型とオンプレミス型の違いまでわかりやすく解説します。
防犯カメラのランニングコストの主な費用項目と相場

防犯カメラのランニングコストは、録画保存・保守・通信・電気代といった複数の費用が継続的に発生する点が特徴です。導入後にかかるこれらの費用は、選択する録画方式や機能構成、運用年数によって大きく変わります。ここでは、防犯カメラ運用における主なランニングコスト項目と、一般的な相場感を整理します。
- 各費用の説明と一般的な相場
- 用途(屋内・屋外・AI機能有無)別の費用差
- 長期運用での合計コスト試算方法
各費用の説明と一般的な相場
防犯カメラのランニングコストは、月額1,000円〜数千円程度の費用が複数発生し、合算して増えていきます。代表的なのがクラウド録画やストレージ利用料で、1台あたり月額1,000円〜3,000円程度が一般的です。オンプレミス型の場合、月額課金は発生しませんが、HDDやNASの交換費用が数年ごとに必要になります。
また、保守・メンテナンス費用として、年額1台あたり5,000円〜2万円前後がかかるケースも少なくありません。これは、故障時の出張対応や機器交換を含む契約内容によって差が出ます。さらに、常時稼働による電気料金や通信費も発生し、電気代は1台あたり月数百円〜1,000円程度が目安です。これらを合算すると、想定以上の維持費になる場合もあります。
用途(屋内・屋外・AI機能有無)別の費用差
防犯カメラのランニングコストは、設置環境や搭載機能によって明確な差が生じます。屋内用カメラは消費電力が低く、通信量も抑えやすいため、比較的コストを抑えた運用が可能です。一方、屋外用カメラは防水・防塵仕様や赤外線暗視機能を備える必要があり、消費電力やメンテナンス費用が高くなる傾向があります。
さらに、AI解析機能を搭載したカメラでは、人物検知や侵入検知のためにクラウド解析を利用するプランもあり、その場合は月額費用が1台あたり数千円上乗せされるケースもあります。高機能なカメラほど防犯性能は向上しますが、その分ランニングコストも増えるため、用途に対して過剰な機能を選ばないことが重要です。
長期運用での合計コスト試算方法
防犯カメラの導入判断では、短期の月額費用ではなく、3年〜5年単位での総コストを試算することが重要です。例えば、1台あたり月額2,000円のクラウド利用料がかかる場合、5年間で約12万円になります。これに保守費用や電気代、機器交換費用を加えると、初期導入費用を上回るケースも珍しくありません。
試算の基本は「台数×月額費用×運用年数」で計算し、HDD交換や機器更新といった定期的な支出も含めることです。初期費用の安さだけで判断せず、長期視点で総コストを把握することが、後悔しない防犯カメラ導入につながります。
防犯カメラの契約形態別(購入・リース・レンタル)の維持費用

防犯カメラのランニングコストは、一括購入・リース・レンタルのどれを選ぶかで大きく異なります。それぞれ、初期費用の有無だけでなく、月額費用の考え方、保守対応、契約期間の柔軟性に違いがあります。短期的な月額の安さだけで判断すると、長期運用では割高になるケースも少なくありません。ここでは、契約形態ごとに発生する維持費用の特徴と相場感を解説します。
- 防犯カメラを一括購入したときの維持費用
- 防犯カメラをリース契約したときの月額の維持費用
- 防犯カメラをレンタル契約したときの月額の維持費用
防犯カメラを一括購入したときの維持費用
一括購入は初期費用が高いものの、月額の固定維持費を最小限に抑えやすい契約形態です。導入後に継続的に発生する費用は、電気料金・通信費・録画用ストレージの交換費用・必要に応じた保守点検費が中心となります。電気料金は常時稼働で月数百円〜1,000円程度が目安です。
オンプレミス録画の場合、HDDやSSDは3〜5年ごとに交換が必要になり、数万円規模の費用が定期的に発生します。また、保守契約を結ばない場合、故障時の修理や出張対応は都度請求となるため、突発的なコストが発生しやすい点には注意が必要です。長期的な総額は抑えやすい一方で、管理やトラブル対応の負担は増える傾向があります。
防犯カメラをリース契約したときの月額の維持費用
リース契約は初期費用を抑えつつ、月額で計画的にコスト管理しやすい点が特徴です。月額費用の目安は1台あたり3,000円〜8,000円程度で、機器代を分割して支払う形になります。契約内容によっては、保守点検や故障時の機器交換が含まれる場合もあり、運用面での安心感があります。
一方で、電気料金や通信費は別途発生し、契約期間中の途中解約が原則できないケースが多い点には注意が必要です。結果として、総支払額は一括購入より高くなる傾向があります。資産計上を避けたい場合や、毎月の支出を平準化したい事業者に向いた選択肢といえます。
防犯カメラをレンタル契約したときの月額の維持費用
レンタル契約は、初期投資をかけず、短期間でも手軽に防犯体制を整えられる点が最大のメリットです。月額費用は1台あたり5,000円〜1万円前後が一般的で、機器利用料に加えて保守・交換対応が含まれているケースが多くなっています。電気料金と通信費以外の追加コストが発生しにくく、トラブル時の対応も迅速です。
ただし、長期利用では総額が最も高くなりやすく、機器の選択肢やカスタマイズ性が限られる点には注意が必要です。期間限定の防犯強化や、導入前のテスト運用などに適した契約形態といえます。
防犯カメラのランニングコストの削減ポイントと工夫

防犯カメラのランニングコストは、機器選定・設定・運用方法を見直すことで無理なく削減できます。高機能なカメラは安心感を高めますが、用途に合わない機能を導入すると、月額費用や保守コストが不要に膨らみがちです。導入前に目的と監視範囲を整理し、設定や契約内容を最適化することが、長期的に安定した運用につながります。
- 用途に応じた最低限必要な機能の選定方法
- 録画設定(解像度・フレームレート)とコスト調整
- 定期点検で故障コストを減らす運用
- 複数ベンダーでの価格交渉・プラン比較
用途に応じた最低限必要な機能の選定方法
ランニングコストを抑えるには、設置目的に合った最低限必要な機能だけを選定することが重要です。例えば、侵入抑止が主目的であれば、高倍率ズームや高度なAI解析機能は必ずしも必要ありません。屋内設置であれば、防水・防塵性能も不要となり、機器価格や月額費用を下げられます。
設置場所ごとに、必要な解像度、夜間撮影の有無、遠隔監視の必要性などを整理し、機能を取捨選択することで、クラウド利用料や保守費を抑えやすくなります。すべての拠点・カメラを同一仕様にするのではなく、用途別に構成を分けることも、無駄なコストを防ぐ有効な方法です。
録画設定(解像度・フレームレート)とコスト調整
録画設定を見直すことで、毎月のストレージ費用や通信費を大きく削減できます。解像度やフレームレートを高く設定すると、録画データ量が増え、クラウド容量や通信量に比例して月額費用も上がります。
常時録画が不要な場所では、動体検知録画へ切り替えることで、無駄な録画を減らすことが可能です。また、人物の識別に十分な画質まで解像度を下げるだけでも、ストレージ使用量は大幅に軽減されます。夜間や営業時間外のみ設定を変更するなど、時間帯別に録画条件を調整することも、コスト最適化に有効です。
定期点検で故障コストを減らす運用
定期点検を行うことで、突発的な修理・交換費用を未然に防げます。防犯カメラの故障は、修理費用だけでなく、監視ができない期間のリスク増大にもつながります。映像の乱れや録画エラー、レンズの汚れ、配線の劣化などを定期的に確認することで、大きなトラブルになる前に対応できます。
保守契約を結んでいない場合でも、月1回や四半期ごとの簡易点検を社内ルールとして定めることで、長期的な維持費を抑えやすくなります。
複数ベンダーでの価格交渉・プラン比較
防犯カメラのランニングコストは、ベンダー選定と契約内容の見直しで大きく差が出ます。同じ機能構成でも、クラウド録画容量、保守範囲、契約期間によって月額費用は大きく異なります。導入前に複数社から見積もりを取り、条件を比較することが重要です。
また、台数増設時のボリュームディスカウントや、長期契約による月額値下げが可能なケースもあります。導入後も定期的に契約内容を見直し、より条件の良いプランへ切り替える姿勢が、継続的なコスト削減につながります。
防犯カメラのランニングコストのシミュレーション例
防犯カメラのランニングコストは、設置台数・録画方式・求める信頼性レベルによって大きく変動します。事前に自社の規模や運用目的に近いケースを想定し、月額費用の目安を把握しておくことで、導入後のコストギャップを防ぎやすくなります。ここでは、小規模から大規模まで代表的な3つのシーン別に、ランニングコストの考え方を整理します。
- 小規模オフィス(2台・クラウド録画)
- 中規模店舗(6台・ローカル+クラウド)
- 大規模施設(12台以上・冗長バックアップ設計)
小規模オフィス(2台・クラウド録画)
小規模オフィスでは、管理負担を抑えやすいクラウド録画型が最もシンプルで分かりやすい選択肢です。カメラ2台をクラウド録画で運用する場合、月額利用料は1台あたり1,000円〜2,000円程度が一般的です。これに通信費や電気料金を加えると、月額のランニングコストは合計で約3,000円〜5,000円前後に収まります。
保守対応を含むプランを選択すれば、故障時の突発的な出費を抑えられる一方、月額はやや高くなる傾向があります。初期費用を抑えつつ、最低限の防犯体制を整えたい小規模オフィスに適した構成です。
中規模店舗(6台・ローカル+クラウド)
中規模店舗では、コストと安全性のバランスを取るためにローカル録画とクラウドを併用する構成が有効です。録画データは施設内のレコーダーに保存し、トラブル時に重要な映像のみクラウドへバックアップすることで、クラウド容量を抑えつつ信頼性を確保できます。
この構成では、クラウド利用料が月額3,000円〜6,000円程度、HDDの定期交換費用を年換算で月1,000円前後見込む必要があります。電気料金や通信費を含めると、月額のランニングコストは8,000円〜12,000円程度が目安です。飲食店や小売店舗など、実運用を重視する施設で採用されやすい構成といえます。
大規模施設(12台以上・冗長バックアップ設計)
大規模施設では、録画停止を防ぐ冗長設計を前提としたランニングコストを想定する必要があります。カメラ台数が12台以上になると、ローカル録画装置の二重化や、クラウドへの常時バックアップが求められるケースが増えます。この場合、クラウド利用料だけで月額1万5,000円〜3万円程度になることも少なくありません。
さらに、保守契約や遠隔監視サービスを含めると、月額のランニングコストは3万円〜5万円規模になることも珍しくありません。費用は高くなりますが、監視停止が許されない工場、商業施設、医療・公共施設などでは、安定運用を優先した設計が重要です。
防犯カメラの設置や維持費には助成金・補助金が使える
防犯カメラの設置費用や維持費は決して小さくありませんが、条件を満たせば助成金や補助金を活用できる場合があります。多くの自治体では、防犯対策の強化や地域の安全向上を目的として、商店街、町内会、自治会、事業者向けに防犯カメラ導入支援制度を設けています。補助対象となるのは、カメラ本体や設置工事費だけでなく、制度によっては、録画装置など周辺機器まで対象になる場合があります。条件によって異なるため、要確認です。
補助率や上限額は自治体によって幅がありますが、一定割合(例:1/2など)を補助する制度も見られます。ただし、申請期間や対象要件、設置目的の明確化、事前申請が必須といった条件があるため注意しましょう。
導入を検討する際は、自治体の公式サイトや防犯担当窓口を早めに確認し、助成金を前提とした費用計画を立てることで、ランニングコストを含めた負担を大きく抑えられます。
防犯カメラのランニングコストのよくある質問(FAQ)
防犯カメラの運用を検討する中で、ランニングコストに関する疑問は多く寄せられます。録画データの扱い方や月額費用の目安、故障時の対応体制、録画方式の違いによるコスト差などは、導入後の満足度を左右する重要な判断材料です。ここでは、実務で特に質問の多いポイントを整理し、判断のヒントをわかりやすく解説します。
- 録画データのバックアップは必須?
- ランニングコストは月いくらぐらい?
- 故障対応は自社対応と保守契約、どちらがよい?
- クラウド録画とローカル録画はどっちが安い?
録画データのバックアップは必須?
録画データのバックアップは必須ではありませんが、証拠保全やリスク回避を重視する場合は強く推奨されます。防犯カメラの映像を盗難・不正侵入・トラブル時の証拠として活用する場合、録画装置そのものが故障・盗難に遭うとデータが失われるリスクがあります。クラウドバックアップや二重録画を導入しておけば、こうした事態でも映像を確保しやすくなるのです。
一方で、犯罪抑止が主目的で、短期間の映像保存で十分なケースでは、ローカル録画のみでも運用可能です。バックアップの有無は、目的・リスク許容度・コストのバランスを踏まえて判断することが重要です。
ランニングコストは月いくらぐらい?
小規模オフィスでクラウド録画を利用する場合、月額3,000円〜5,000円程度が一般的です。中規模店舗では8,000円〜1万2,000円前後、大規模施設や冗長構成を採用する場合は月3万円以上になることもあります。
主な内訳は、クラウド利用料、保守・メンテナンス費、通信費、電気料金です。初期費用の安さだけで判断せず、月額合計と長期コストを基準に比較することが重要です。
故障対応は自社対応と保守契約、どちらがよい?
自社対応の場合、軽微なトラブルには即時対応できますが、機器やネットワークに関する一定の専門知識が求められます。一方、メーカーやベンダーの保守契約を利用すれば、障害の切り分けや機器交換を任せられるため、管理負担を大きく軽減できます。
保守費用は発生しますが、常時稼働が前提の環境や、人的リソースが限られている場合は、保守契約を結んだ方が結果的に安定します。社内体制と許容リスクを踏まえて選択するとよいでしょう。
クラウド録画とローカル録画はどっちが安い?
ローカル録画は月額費用が低く、短期運用ではコストを抑えやすい反面、HDD交換や故障対応といった定期・突発的な支出が発生します。クラウド録画は月額費用が継続的にかかりますが、バックアップや保守が含まれるため、長期的には管理コストを含めて安定しやすい傾向があります。
比較する際は、月額費用だけでなく、運用期間・台数・管理工数を含めた総コストで判断することが重要です。
防犯カメラのランニングコスト最適化まとめ
防犯カメラのランニングコストは、設置台数や録画方式、保守体制によって大きく差が出ます。クラウド録画は月額費用が発生する一方、管理やバックアップの手間を抑えやすく、ローカル録画は月額を抑えられる反面、保守や機器交換のコストを見込む必要があります。導入時は初期費用だけで判断せず、数年単位での総コストを試算し、自社の運用体制に合った方式を選ぶことが重要です。
助成金や補助金の活用、設定や契約内容の見直しによって、負担を抑えながら安定運用することも可能です。防犯カメラは長く使う設備だからこそ、ランニングコストを見据えた計画が安心につながります。

