LED照明は、省エネ性と長寿命を兼ね備えた照明として、多くの店舗や施設で採用が進んでいます。しかし、一口にLED照明といってもその種類は多岐にわたり、形状・機能・設置場所によって適切なタイプは異なります。誤った選定は、空間の印象や運用コストに悪影響を及ぼすことも。本記事では、LED照明の基本的な種類から、設置場所別・機能別の分類、さらには店舗や施設ごとの最適な選び方までを体系的に解説。適切な照明環境づくりの第一歩をサポートします。
LED照明の基本的な種類とは？
本項では、LED照明の基本的な種類について解説していきます。
電球型LED
電球型LEDは、白熱電球や電球型蛍光灯の代替品として広く利用されています。既存のソケット（E26など）にそのまま取り付け可能なため、初めてLEDを導入する場合でも手軽に交換できます。光の広がり方や色温度の選択肢が多く、店舗の雰囲気づくりにも柔軟に対応できます。価格も比較的リーズナブルで、店舗や施設の各所に設置される補助照明として重宝されているタイプです。
蛍光灯型LED
蛍光灯型LEDは、直管や環形の蛍光灯を置き換えるタイプで、主に天井照明に使用されます。従来の蛍光灯と同じ形状をしており、既存の照明器具に装着できる製品も多いため、交換が比較的スムーズに行えます。また、ちらつきが少なく、点灯直後から明るく照らせる点も利点です。高所設置が多い施設において、交換回数の削減によるメンテナンス性向上にも寄与します。
一体型LED照明
一体型LED照明は、照明器具とLED光源が一体となった製品で、器具ごと交換するタイプです。LEDの性能を最大限に活かす設計となっており、配光や放熱の効率性に優れています。寿命が長く、照度ムラも出にくいため、オフィスや商業施設など、明るさの均一性が求められる空間に最適です。初期コストはやや高めですが、長期的に見れば運用コストの低減につながります。
設置場所別のLED照明の種類は？
続いて本項では、設置場所別のLED照明の種類を解説していきます。
天井照明
天井照明として使われるLED照明には、シーリングライトやベースライトなどがあり、空間全体を均一に照らす目的で設置されます。オフィスや店舗の主照明として用いられることが多く、長時間の点灯にも耐える設計が求められます。明るさや配光角の選択肢も多く、天井の高さや広さに応じた適切なモデルを選ぶことが重要です。照明計画において、空間全体の印象を決定づける基礎となる存在といえるでしょう。
ダウンライト・スポットライト
ダウンライトやスポットライトは、特定の場所をピンポイントで照らす照明です。商品棚やカウンター、ディスプレイなどを強調したい場面で活躍します。ダウンライトは天井に埋め込むタイプが一般的で、天井面をすっきり見せられるのが魅力です。一方、スポットライトは自由な角度調整が可能で、空間演出に柔軟に対応できます。色温度や調光機能を活かすことで、演出効果を高められます。
屋外用LED
屋外で使用するLED照明は、防水・防塵性能に優れ、看板灯や投光器、街路灯として使用されます。雨風や直射日光にさらされるため、IP規格に対応した耐久性の高い製品を選ぶ必要があります。夜間の誘導やセキュリティ強化にも効果的で、設置位置や照射範囲の検討も欠かせません。屋外用照明は、施設の第一印象を左右する要素にもなるため、明るさとデザイン性のバランスも重要です。
【機能別】LED照明の種類
続いては、LED照明の種類を機能別でそれぞれ解説していきます。
人感センサー付きLED照明
人感センサー付きLEDは、人の動きを感知して自動的に点灯・消灯する照明です。廊下やトイレ、バックヤードなど、頻繁に人が出入りする場所に最適で、省エネ効果を高める手段としても注目されています。点灯時間や感知範囲を細かく設定できる製品も多く、無駄な電力消費を抑えながら利便性を向上させることが可能です。防犯面でも一定の効果が期待できるため、店舗の裏口や通用口などにもよく使われています。
調光・調色機能付きLED
調光・調色機能付きLEDは、空間の用途や時間帯に合わせて明るさや光の色を自由に変えられるのが特長です。例えば、飲食店で昼は白色の明るい光、夜は温かみのある電球色に切り替えることで、雰囲気を演出することができます。オフィスでも、時間帯や作業内容に応じて適切な明るさを調整することで、集中力や快適性の向上につながります。柔軟な照明設計を求める施設にとって、導入価値の高い機能といえるでしょう。
スマートLED
スマートLEDは、スマートフォンやタブレットなどのアプリを使って遠隔操作ができる次世代型照明です。照明のON/OFFや明るさの調整はもちろん、スケジュール設定や複数拠点の一括管理も可能です。クラウドやIoTと連携することで、より高度な運用が実現します。業務効率化や省エネ対策を目的に導入する施設が増えており、特にチェーン店舗や多拠点展開を行う企業にとっては、管理負担を軽減できる有効な選択肢となります。
【店舗・施設別】どのようなLED照明がマッチする？
本項では、店舗・施設別に、どのようなLED照明がマッチするのか解説していきます。
飲食店
飲食店では、料理を美味しそうに見せる照明演出が重要です。温かみのある電球色のLED照明は、居心地の良い空間づくりに効果的で、特にダウンライトやスポットライトとの組み合わせが人気です。調光機能を活用すれば、昼と夜で異なる雰囲気を演出することも可能です。また、厨房には明るさと作業性を重視した白色光のLEDが適しており、ゾーンごとに最適な照明を選ぶことで、店舗全体の印象が大きく向上します。
小売店
小売店では、商品を魅力的に見せるための照明が販売促進に直結します。演色性の高いLED照明を使うことで、衣類や食品の色を自然に再現でき、顧客の購買意欲を高める効果が期待できます。特にスポットライトやライン照明を用いたディスプレイ演出は、売り場づくりに欠かせない要素です。さらに、人感センサー付きの間接照明を導入することで、省エネと雰囲気づくりを両立させることも可能です。
商業施設
商業施設では、共用部・テナント・駐車場など多様なエリアに応じた照明が必要となります。天井が高く広い空間には、高出力で広範囲をカバーできるベースライトや一体型LEDが適しています。共用エリアでは安全性と快適性を確保するため、明るさの均一性や光のちらつきの少なさが求められます。また、長時間の点灯を前提とした照明には、省エネ性能やメンテナンス性の高い製品を選ぶことがコスト削減にもつながります。
工場
工場内の照明には、高い照度と耐久性が求められます。高天井に設置されることが多いため、広範囲をムラなく照らせる高天井用LED照明が適しています。LEDは瞬時に点灯するため、作業効率を妨げることなく運用できる点も利点です。油やホコリが多い環境では、防塵・防水仕様の照明を選定する必要があります。長寿命かつ交換頻度の少ないモデルを導入すれば、メンテナンスの手間も軽減されます。
オフィス
オフィスでは、作業のしやすさと快適な職場環境の両立が照明選びのポイントです。ベース照明には、明るく均一な配光を持つパネル型LEDやシーリングライトがよく使われます。調光機能付きのLEDを導入すれば、時間帯や業務内容に合わせた照明調整が可能となり、目の疲れを軽減できます。また、近年では省エネと働き方改革を両立させるために、スマート照明を導入するオフィスも増えてきています。
まとめ
LED照明には、電球型や蛍光灯型、一体型といった基本形状に加え、人感センサーや調光・スマート連携など、さまざまな機能が搭載された製品があります。また、天井用・屋外用など設置場所による選定や、飲食店・工場・オフィスといった施設の性質に応じた使い分けも重要です。照明の種類を正しく理解し、空間に合った製品を選ぶことで、省エネと快適性の両立が可能になります。導入前には、照明の目的と設置環境を踏まえた選定を心がけましょう。
