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2025/07/10

LED工事を資産計上するケースとは?計上する際の注意点も解説

LED工事の資産計上

LED照明の導入は、節電や環境対策の面で有効な手段ですが、その工事費用を「資産計上」するべきか「修繕費」として経費処理するべきかで悩む方も多いのではないでしょうか。会計処理の判断を誤ると、税務調査で指摘される可能性もあります。本記事では、LED工事が資産計上となるケースや、修繕費で処理できる条件、そして資産計上時の注意点までを具体的に解説します。判断に迷った際の対応方法についても触れながら、実務に役立つ知識を整理します。

目次

LED工事が資産計上になるケースとは?

ledkouzi-sisankeizyou-1 本項では、LED工事が資産計上になるケースについて解説していきます。

建物全体または大規模エリアの一括LED化

オフィスビルや工場など、建物全体にわたって一括でLED照明を導入する工事は、資産計上の対象となる可能性が高いです。これは、建物の附属設備として扱われ、耐用年数をもとに減価償却されるためです。
例えば、複数のフロアや広範囲の共用部などに設置される場合は、その工事の規模と目的が「新たな価値を付加するもの」と判断されやすくなります。金額が一定以上であり、数年にわたり使用されることを前提としている工事であれば、修繕費として処理するのは難しいと考えておくべきでしょう。

設備の機能向上や用途変更を伴う改修

単なる老朽化対応ではなく、照明の明るさを高めたり、人感センサーを組み込んだりするなど、機能の向上や利便性の改善を目的とした工事は「資本的支出」として分類されます。照明の用途が変わる、作業環境が大幅に改善されるなど、明らかな価値の増加が認められる場合には、資産計上の対象となります。
また、省エネ性能を高めるための投資も、結果として企業の資産価値を高める行為と見なされやすいです。改修の規模や内容によっては、会計上の扱いに注意が必要です。

新築・増築・リニューアル時の照明工事

建物の新築や増築、全面リニューアルなどと同時に行われる照明設備の導入は、その建物の一部として資産計上するのが一般的です。これらの工事は新たな設備投資とみなされ、建物本体に含めるか、または「建物附属設備」として処理されます。
たとえば、商業施設の改装に伴って全面的に照明をLED化するような場合は、使用目的の明確化と長期的な活用を前提とするため、費用全体が資産として認識されやすいです。記帳や減価償却の処理も必要になります。

LED工事が「修繕費」として経費処理できる条件

ledkouzi-sisankeizyou-2 本項では、LED工事が「修繕費」として経費処理される条件について解説していきます。

既存設備の性能維持が目的の場合

既存の蛍光灯照明を同等のLEDに交換するようなケースでは、設備の性能を維持するための修繕行為と見なされる可能性が高く、修繕費として経費処理が可能です。照度や機能が大きく変わらず、建物の資産価値が向上していないと判断できる場合は、原則として資本的支出には該当しません。

ただし、見積書や契約書に「改善」や「高性能化」などの文言があると判断が分かれることもあるため、文書の表現にも注意が必要です。

20万円未満または少額減価償却資産扱いの場合

LED照明の工事費用が1点あたり20万円未満である場合や、一定の条件を満たす中小企業で30万円未満の資産については、少額減価償却資産として一括償却、または修繕費として経費処理することが認められています。

特に青色申告を行っている法人は、この特例を活用することで、税負担の平準化やキャッシュフローの安定化が図れます。なお、金額要件だけでなく「1取引単位での判断」も重要ですので、工事の明細を丁寧に確認することが求められます。

3年以内に繰り返される定期的な工事の場合

定期的に実施される更新工事や、維持管理を目的とした照明交換は「修繕費」として扱われるケースが多いです。たとえば、3年以内の周期で同様のLED交換工事が行われる場合、会計上では反復継続性が認められ、経費処理の対象となります。

このような支出は資産の価値を大きく向上させるものではなく、通常の保守管理と捉えられるためです。ただし、頻度だけでなく、工事の内容や範囲も判断材料になるため、実態に即した処理が必要になります。

LED工事を資産計上する際の注意点

本項では、LED工事を資産計上する際の具体的な手続きと注意点について解説していきます。

勘定科目の選定

LED工事を資産計上する際には、適切な勘定科目を選ぶことが重要です。たとえば、建物本体に付随する工事であれば「建物附属設備」、単体で独立して使えるものであれば「器具備品」などに分類されます。

勘定科目を誤ると、減価償却の期間や処理方法にも影響を及ぼすため、税務上のリスクが高まります。見積書の明細や工事内容を基に、経理部門や税理士と連携して正確に仕訳を行うことが求められます。

会計監査や税務調査で指摘されやすいポイント

LED工事に関する会計処理は、税務調査でも比較的チェックされやすい項目です。とくに、金額の大きな照明更新工事や複数年度にわたるプロジェクトでは、資本的支出と修繕費の判断が問われることがあります。

修繕費として処理していても、後から「実質的には資産価値の増加」と認定されると、追徴課税の対象になる場合もあります。領収書や契約書だけでなく、工事の実態に即した説明ができるよう準備しておくことが重要です。

耐用年数と減価償却のルール確認

LED設備を資産計上する場合には、その耐用年数に基づいて適切に減価償却を行う必要があります。例えば、建物附属設備であれば通常15年、器具備品であれば6年が基準となります。

ただし、工事内容によっては別の分類となる可能性もあるため、国税庁が定める耐用年数表を確認することが重要です。減価償却の方法(定額法・定率法)や償却開始のタイミングにも注意を払い、適切に帳簿処理を進めましょう。

LED工事の資産計上で判断に迷ったときの対処法とは?

ledkouzi-sisankeizyou-3 本項では、判断に迷ったときの対処法について解説していきます。

税理士・会計士に確認する

LED工事の費用処理で迷った場合、まずは税理士や会計士に相談することが確実です。税法や会計基準は複雑であり、企業ごとの状況や過去の処理方法によって適切な対応が異なるため、専門家の判断を仰ぐのがベストです。

特に、税務調査のリスクを最小限に抑えるためには、第三者によるチェックを受けておくことが効果的です。相談時には、工事内容・金額・見積明細などの資料を事前に用意しておくとスムーズに進みます。

工事業者に見積明細を細かく出してもらう

正確な会計処理を行うには、工事業者から提供される見積書や請求書の明細が非常に重要です。「照明本体の代金」「取り付け工賃」「既存設備の撤去費用」などが明確に分かれていることで、資産計上と修繕費の切り分けがしやすくなります。

曖昧な明細しか提出されない場合には、再度の見積もり依頼を検討しましょう。明細が詳細であればあるほど、会計上の根拠として信頼性が高まり、税務調査時のリスク軽減にもつながります。

まとめ

LED工事の費用が資産計上に該当するかどうかは、工事の内容や目的によって大きく異なります。照明設備の機能向上や新築・大規模改修に伴う工事は資産計上となる一方で、性能維持を目的とした軽微な修繕であれば経費処理が可能です。勘定科目や耐用年数、税務上のルールも押さえておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。迷ったときには専門家への相談を検討し、適切な会計処理を行いましょう。

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