近年のサウナブームの到来により、温浴施設をリノベーションし、新業態で再スタートさせる人が増えています。
しかし、「受付スタッフを採用したくても人材不足で採用できない」「館内の飲食店などで課金した際の精算を統合したいが、どこに相談すればよいかわからない」といった悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
そこで、株式会社USEN-ALMEX(U-NEXT.HD)マーケティングセールス本部 特販部 部長の二口治様と、マーケティングセールス本部 特販部 シニアエキスパートの鈴木紳之様に、温浴施設のDX化についてお話を伺いました。
―――ズバリ貴社が得意としている店舗施設の課題解決は何かを教えてください。
当社は店舗や施設が抱えるさまざまな課題を解決していますが、特に省人化の悩みに対応するケースが多くあります。
省人化というと経費削減のイメージを持たれることが多いですが、スタッフをフロント業務から解放し、接客業務に専念できる環境を整え「お待たせしないおもてなし」を実現することが重要なポイントだと考えています。
また、「スタッフに現金を扱わせたくない」という理由からキャッシュレス対応を求めるケースも増えています。
現金の取り扱いや締め作業はスタッフにとって大きなストレスであり、「お金を合わせなければならない」というプレッシャーも非常に大きいものです。
このように、お客様のニーズに応じた課題解決を提供しています。当社のポリシーは、店舗運営に関するどのような課題でもお気軽にご相談いただけるよう、柔軟に対応することです。
―――お客様が抱える課題に対してどのような対策がありますか?
近年の銭湯業界では、サウナブームに伴いリニューアルの動きが活発化しています。特に地方では、朝9時からオープンし、サウナやお風呂に入りながら一日中過ごせる施設が増えています。これらの施設は、単なるお風呂だけでなく、レストランやマッサージ、散髪といったサービスを併設し、利用者がゆっくりと滞在できる運営スタイルが主流となっています。
こうした施設では館内で利用したサービスをすべてリストバンドで管理し、退館時にまとめて精算する、新しい運営スタイルが広がっています。これにより、利用者は好きなタイミングで様々なサービスを受けられるようになっています。
温浴施設に限らず、レストランやマッサージ、散髪などのサービスを提供する施設でも、リストバンドを活用したキャッシュレス化が進んでいます。これは、利用者がその場でスムーズに注文できることで購買意欲が高まるためです。
リストバンドの活用には、利用者の利便性向上以外にも、施設側に以下のようなメリットがあります。まず、レストランの券売機やフロアスタッフが不要になり、オーダーが自動化されます。また、料理の配膳にロボットを導入することで、厨房業務の効率化や人件費削減にもつながります。
さらに、施設運営面での改善も期待できます。例えば、ロッカーや動線の工夫により、混雑時のストレスを軽減できます。受付と会計の場所が分かれることで、退館する利用者と入館する利用者が混在する問題が解消され、動線が明確になります。その結果、混雑が緩和されるだけでなく、時短効果も得られ、施設の運営が効率化します。これにより、利用者のストレス軽減にもつながる点が大きな特徴です。
―――何か具体的な解決事例があれば教えてください。
SPAWORLD HOTEL&RESORT様と龍宮城スパホテル三日月様にそれぞれ宿泊施設向けセルフチェックインシステムと温浴施設専用自動精算機を導入しました。
このようにホテルと温浴施設が併設している施設への導入が増えています。例えば、ホテルの精算システムと温浴施設の精算システムが連動している場合、チェックアウト時に部屋付け精算を選択することや、施設内で個別に精算することもできます。この仕組みにより、利用者がストレスなくサービスを受けられるようになります。
また、宿泊施設向けセルフチェックインシステムと自動精算機の両方を導入した場合、シームレスな運用を実現し、結果として、効率的な運営と高い顧客満足度を感じていただけるかと思います。
また、我々は温浴施設やホテルのほか、病院、ゴルフ場など、さまざまな分野でソリューションを提供している点も強みです。それぞれの業界で培ったノウハウやネットワークを活用することで、「単なる温浴施設のシステム屋さん」という枠を超えた提案が可能です。
地方の温浴施設への導入も増えてきており、最近は地域のモデルケースなるような事例もでてきています。DXを推進することに非常に意義があると感じています。
―――お客様から喜ばれているポイントを教えてください。
提案時点で課題をしっかり解決できるとお客様に感じていただけることが重要です。
その後、長期的なお付き合いの中で、例えば機器のトラブル対応やメンテナンスにおいて、迅速かつ確実なサポートを提供している点が評価されています。当社では24時間対応のサポートセンターを設けており、電話一本で迅速に支援を得られる体制を整えています。訪問サポートや電話対応が充実している点がお客様から喜ばれているポイントだと思います。
また、当社の強みは、USEN&U-NEXT GROUP全体でワンストップのサービスを提供できる点です。グループでは、店舗BGMやAI客層分析・防犯監視カメラ、配膳ロボットなど、幅広いソリューションを展開しています。必要な提案を行い、課題解決を総合的にサポートする体制が、信頼につながっていると思います。
課題は常に新たに発生するものです。そのため、課題解決の相談相手として、お客様にとって頼りになる存在であることを目指しています。たとえば、「電気代が高い」といった相談があれば、グループの電力サービスのご提案ができますし、様々なご要望に対応しています。
日頃のコミュニケーションの取りやすさや、課題をお伝えいただいた際に幅広い提案で応えられる点が、お客様から特に喜ばれている部分だと感じています。
―――いろんな側面での改善があるんですね。そんな貴社を一言で表すとどんな課題解決のプロですか?
「テクノホスピタリティを世界へ」が当社の理念です。テクノロジーとホスピタリティを融合させ、DXを通じて世界に貢献できる存在を目指しています。
自動精算機を中心としたDXソリューションの提供により、幅広い課題を解決できる企業でありたいと考えています。
―――最後に今後の展望を教えてください。
当社が目指す未来は、ホスピタリティとテクノロジーを融合させ、より良い社会を創造することです。特に最近はロボティクス分野にも注力しており、グループ全体としても、ロボット提供によるサービス向上を進めています。
自動精算機だけでなく、施設内の業務をロボットで自動化できれば、お客様の効率化と利便性向上に繋がると考えています。こうした新しい取り組みが、グループ全体としての成長や、お客様への新たな価値提供につながると思います。
現在は、配膳や下膳、清掃といった業務がAIやロボットで対応できるようになってきています。今後はさらにこれらの技術が進化していくと思いますので、それにしっかり追従しながらお客様に提案していくことが重要だと考えています。
また、前述したとおり温浴施設に限っても複合化が進んでおり、ホテルやレストランが併設されているケースが増えています。例えば、サウナの横にカプセルホテルが付いているような施設では、一元管理が求められ、「宿泊と温浴の両方を一括で清算したい」というニーズが高まっています。
そのため、ホストシステムも複数のフロントコンピュータを分けて運用するのではなく、統合されたシステムが求められています。お客様にとって使い勝手が良いシステムを提供することが目標です。
小さな改善から大規模なロボティクスまで、常に「テクノホスピタリティ」を軸に、お客様にとって便利で新しい提案を行える会社でありたいと考えています。
特に、経営者や現場の方々は「こんなことができたら」というアイデアを持っていることが多く、それをどう実現するかが我々の役割です。すぐにすべてを叶えることは難しいかもしれませんが、新しい提案や技術を試しながら改善を進めています。その過程で得たノウハウを次のお客様へ提案することで、さらなる課題解決につなげています。
結果として、我々もお客様から学び、支えられながら成長しているのが現状です。このように、お客様と共に進化する姿勢を大切にしています。
―――ありがとうございました。