店舗DXは業務効率化や顧客満足度向上を実現し、店舗を運営する企業の競争力を高める重要な施策です。店舗をDX化することで、レジ業務の負担軽減や在庫管理の最適化、キャッシュレス決済による利便性向上が期待できます。現在、この店舗DXは、さまざまな業種で推進されており、多くの導入事例があることをご存知でしょうか。
本記事では、業種ごとに7つの店舗DX事例を紹介し、DX化による店舗運営の効果や最新トレンドを解説します。
店舗DXとは?店舗運営での必要性
店舗DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して店舗運営や顧客体験を革新し、業務効率化やサービス向上を図る取り組みを指します。
近年、少子高齢化による人手不足や新型コロナウイルスの影響で、非接触型サービスの需要が高まっています。 また、ECサイトの普及により、消費者の購買行動がオンラインへとシフトしている状況です。こうした背景から、実店舗でのみ販売する事業者もデジタル化を進め、顧客満足度の向上や業務の効率化を図る必要性が増しています。
したがって、店舗DXは、現代のビジネス環境に適応し、競争力を維持・向上させるために不可欠な戦略と言えるでしょう。
店舗DXの詳しい導入メリットや成功のためのポイントは以下の記事で紹介していますので、こちらもぜひ参考にしてください。
参考記事:店舗DXとは?導入メリット・事例・成功ポイントを徹底解説!
飲食店の店舗DX事例
ここでは、飲食店の店舗DX導入事例を紹介します。
- POSレジ(吉野家)
- モバイルオーダー(ひねり蛇口ハイ 大衆酒泉テルマエ)
店舗DXの導入を考える際にお役立てください。
POSレジ(吉野家)
牛丼チェーンの吉野家は、社内販売会の負担軽減のため「Airレジ」を採用し、以下のような効果を得ました。
- 完全キャッシュレス化により現金の取り扱いが不要になり、従業員の負担を軽減
- 売上データの分析機能を活用し、効率的な販売に期待
- 社内販売会の負荷が減り、本業への集中を実現
吉野家はAirレジの導入理由として、「リクルート」の信頼感とサービス間の連携の良さを挙げています。
参考サイト:「Airレジ」の活用で社販会開催の負担が激減 外販事業本部のミッションの達成に集中できるようになりました
参考記事: POSレジのサービス紹介と比較
モバイルオーダー(ひねり蛇口ハイ 大衆酒泉テルマエ)
居酒屋であるひねり蛇口ハイ 大衆酒泉テルマエが、店舗DX化のためにモバイルオーダーを導入した結果、得られた主な効果は以下の通りです。
- LINE登録者数の増加:モバイルオーダーの導入前もLINE集客を行っていたが、2022年7月にfunfoを導入してから1年間で10万人ものLINE友だちを獲得
- 顧客単価の向上:モバイルオーダーに切り替えたことで、平均客単価が100円アップ
- 一部商品の売上増加:動画メニューを掲載した結果、一部の商品の売上が4倍アップ
LINE友だちが増加した理由として、顧客が注文時に卓上のQRコードを読み取る際、LINE友だち追加が自動的に案内される点が関係していると考えられています。
参考サイト:モバイルオーダーアプリ導入事例丨ひねり蛇口ハイ 大衆酒泉テルマエ
参考記事:モバイルオーダーシステムのサービス紹介と比較
小売店の店舗DX事例
次に、小売業の店舗DX導入事例を紹介します。
- POSレジ(株式会社ガレージ)
- 無人決済システム、電子棚札など(東急ストア)
さまざまな物を販売する小売店のDX化の参考になれば幸いです。
POSレジ(株式会社ガレージ)
園芸・インテリア販売の株式会社ガレージは、業務効率や商品管理体制の改善のためにCASHIER POSを導入した結果、以下の効果を得られました。
- 購買データ分析による売上アップ
- 品番と在庫数を商品ごとに管理できるようになり、効率的な商品管理を実現
- 棚卸し用のモバイル端末導入により、棚卸し業務にかかる時間が大幅に改善
株式会社ガレージでは以前のような手作業が減り、データに基づいた戦略的な店舗運営と業務効率化を実現しています。
参考サイト:POSレジ導入で得られた購買データと店舗全体の効率改善
無人決済システム、電子棚札など(東急ストア)
食品スーパーの東急ストアは、人手不足への対応や効率化、従業員の生産性向上と働き方改革、競争力の強化などを実現するため店舗DX化に取り組み、以下を実現しました。
- 無人決済システムを活用した無人決済店舗の展開により、店舗運営コストを低減し、小型店でも採算が取れる店舗モデルを開発
- 電子棚札により年間3600時間の従業員の作業時間を削減可能なことがわかり、全店舗へ導入
東急ストアはDX戦略部を中心に、全社で店舗DXを推進するとしています。
参考サイト:店舗DXを着実に前進させている東急ストア、今後の戦略とは
スーパーの店舗DX事例は以下の記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
参考記事:エブリーが考える顧客接点を軸にした総合的な店舗DXとは
アパレル・美容業の店舗DX事例
続いて、以下のアパレルと美容業のDX導入事例を紹介します。
- 決済端末(ヘアサロンmoto素)
- MEO対策ツール(グローバルスタイル株式会社)
アパレルや美容関連業界で店舗DXを導入する際の検討事例にお役立てください。
決済端末(ヘアサロンmoto素)
キャッシュレス決済の導入を前提として2021年にオープンしたヘアサロンmoto素は、次のような導入効果を得ることに成功しました。
- 事務作業が減り、スタッフがサロンワークに専念できるようになり、業務効率が上がった
ヘアサロンmoto素では、決済方法のうち約6割がキャッシュレスとなっています。
参考サイト:キャッシュレス決済の導入を前提に美容室をオープン!10社以上のなかからstera pack(ステラパック)を選んだ理由
参考記事:決済端末のサービス紹介と比較
MEO対策ツール(グローバルスタイル株式会社)
オーダースーツ専門店を運営するグローバルスタイル株式会社は、MEO改善施策のノウハウ不足、店舗ごとの更新作業の負担などの課題を改善するためにGyro-n MEOを導入した結果、以下を実現しました。
- キーワード「オーダースーツ」での上位3位表示地点数が大幅に増加 (2021年11地点 → 2023年32地点)
- ビジネスプロフィールのアクション数が2倍に増加
MEO対策ツールの導入により、グローバルスタイル株式会社は工数を削減しながらコストパフォーマンスの高いMEO対策を実現し、オンライン集客力を向上させています。
参考サイト:Gyro-n MEO導入事例/グローバルスタイル株式会社
参考記事: MEO対策のサービス紹介と比較
その他サービス業の店舗DX事例
最後に、ホテル業界の店舗DX事例を紹介します。
- 配膳ロボット(ANAクラウンプラザホテル神戸)
上記の店舗DX事例事例について説明していきます。
配膳ロボット(ANAクラウンプラザホテル神戸)
ANAクラウンプラザホテル神戸は下げ膳特化型ロボットを導入し、以下の導入効果を得ています。
- スタッフのホール滞在時間が増え、顧客満足度が約13%アップ
- 正社員2名分の人件費削減
配膳ロボットは顧客にも好評で、顧客とのコミュニケーションのきっかけにもなっているとのことです。
参考サイト:【ホテル導入事例】ANAクラウンプラザホテル神戸さま|下げ膳特化型ロボット「HolaBot」
参考記事:配膳ロボットのサービス紹介と比較
店舗DX導入の流れと5つのステップ
店舗DXの導入は、業務効率化や顧客満足度向上を目指す上で、以下のステップを踏みながら進めることが重要です。
1. 現状の課題を明確にし、デジタル化すべき業務を選定する
2. 店舗DXの目標を設定し、具体的な施策を洗い出す
3. 店舗DX推進チームを組織し、ロードマップを策定する
4. 必要な予算を確保し、適切なITシステムやツールを選定する
5. 新しいシステムの導入が決まったら、スタッフへの研修やトレーニング、マニュアルの準備などを行う
導入後は、定期的にパフォーマンスを評価し、必要に応じてアップデートを行いましょう。
【2025年】最新の店舗DXトレンドとは?
最後に、2025年の最新店舗DXトレンドとして、次の2つを紹介します。
音声AIカルテ
株式会社Sapeetの音声AIカルテは、顧客との会話をAIが自動で書き起こし、その内容を管理・分析に必要な項目やフォーマットへ自動整形・転記する機能を備えたシステムです。
このシステムのメリットとして、現場スタッフの顧客情報入力の手間や店舗管理者の業務負担を軽減できる点が挙げられます。音声AIカルテを導入することで、顧客情報をよりスムーズに活用できるようになるでしょう。
AI映像解析システム
ナブラワークス株式会社は、2025年3月開催のSECURITY SHOW2025に初出展し、店舗DXソリューションを展示する予定です。出展内容は、店内のIPカメラ映像によるAI映像解析を活用し、来客状況やリピート率を可視化するソリューションとなっています。
参照:ナブラワークス株式会社、SECURITY SHOW2025に初出展 — セキュリティソリューション、店舗DXソリューション、顔認証ソリューションを展示
紹介したような店舗DXの最新情報を知り、自社に合う施策を取り入れることで、店舗の競争力アップにつながるでしょう。
店舗DXの事例を知り、業務効率化やサービス向上を!
本記事では、実際に店舗DX化を進め、業務効率化といった店舗運営を最適化している事例を紹介しました。
DXを成功させるためには、自社の課題を正確に把握し、適切なデジタルツールを選定する点が重要です。特に、小売・飲食・アパレル・サービス業といった業種ごとに最適な店舗DX施策を導入することで、効果を最大化できるでしょう。
店舗DXを検討している店舗経営に関わる方にとって、「どのシステムを導入すればよいのか」「どのような事例があるのか」「導入後の効果はどれくらいか」といった疑問が尽きないかもしれません。店舗DX推進には、正しい情報をもとに適切な施策を選ぶことが大切です。
店舗DXを成功させるために、ぜひ活用いただきたいのが『Bizcan』です。
Bizcanでは、最新の店舗DX導入事例、業界別の成功事例、店舗DXツールの比較情報など、店舗DXに役立つ情報を豊富に提供しています。ぜひ Bizcanをチェックし、店舗DXをスムーズに進めるためのヒントを得ましょう!