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2024/08/20

セルフレジを導入するメリット・デメリットは?効果を引き出す導入のヒント

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セルフレジを導入するメリット・デメリットは?効果を引き出す導入のヒント

セルフレジを導入する企業は、年々増えています。

しかし、安易に導入すると客離れやコスト負担増に悩む原因になる可能性があるため、注意しなければなりません。

セルフレジを導入するにあたり、まずは導入によって、どのようなメリットやデメリットがあるのかを理解しておくことが大切です。

本記事では、小売業界におけるセルフレジの導入率や、メリット・デメリットを紹介しながら、セルフレジの導入効果を最大限に引き出すためのヒントについて解説していきます。

目次

小売業界におけるセルフレジの導入率

一般社団法人全国スーパーマーケット協会の調査によると、2023年度にセルフレジを設置している企業の割合(「半数以上の店舗に設置」と「半数未満の店舗に設置」の合計)は、31.1%でした。

セルフレジが誕生したのは2003年のことであり、約20年たつ現在も導入率は3割程度に留まっています。

一方で、2021年度は23.5%、2022年度は25.2%だったことから、導入店舗は着実に年々増加しています。

参考サイト:2023年 スーパーマーケット年次統計調査 報告書|一般社団法人全国スーパーマーケット協会

今後も、セルフレジを設置する店舗は増加することが予想されます。セルフレジの導入を検討する場合は、メリット・デメリットを踏まえて、店舗の業種や客層にマッチする導入方法を検討することが大切です。

セルフレジを導入するメリット

セルフレジのイメージ画像セルフレジを導入するメリットは、以下の3点です。

  • レジの待ち時間が削減できる
  • 人件費削減や業務負担軽減につながる
  • 非接触で衛生的に対応できる

それぞれのメリットが店舗経営において、具体的にどのような効果をもたらすのかを解説します。

レジの待ち時間が削減できる

セルフレジを導入すると、レジ待ち時間の軽減につながります。

店員が対応する有人レジよりも設置台数を増やせる、会計対応を行わなくて済むなど、回転率が上がることが理由です。

とくに小売店の場合、朝の通勤客が多い時間帯や夕方の帰宅ラッシュ時間帯は買い物客が多く、レジ待ちの顧客が長蛇の列になるケースがあります。

セルフレジは、会計時間を減らしたり、スタッフを増やさずにレジ台数だけを増やしたりできる点が特徴です。

結果的に、セルフレジの導入によって会計の対応ができる客数が増えます。レジの待ち時間削減につながり、レジ周りの混雑が解消されて顧客のストレス緩和につながるでしょう。

人件費削減や業務負担軽減につながる

人件費の削減や、レジスタッフの業務負担軽減につながるのも、セルフレジを導入するメリットの1つです。

セミセルフレジであれば自動釣銭機や精算機による決済・支払い作業、フルセルフレジであればさらに商品のバーコードを読み取る作業も店舗スタッフが行わずに済みます。

レジ1台あたりの回転率が上がるため、有人レジの設置台数を減らせるのもセルフレジの魅力です。また、POSレジシステムが備わっていれば、在庫管理や売上管理も容易になります。

セルフレジの導入直後は、操作に慣れていない顧客のサポートに手厚い人員配置を行うと良いでしょう。顧客が操作に慣れれば、セルフレジの対応を行うスタッフの数も減らせます。

レジの混雑による顧客のストレスを緩和することにもつながるため、いわゆるカスハラの抑止にも効果的です。

結果的にレジスタッフの負担が軽減されて余裕が生まれ、人件費の負担を増やすことなく、接客サービスの向上も実現するでしょう。

非接触で衛生的に対応できる

セルフレジを導入すると、商品登録や決済を顧客が行うため、非接触で会計ができて衛生的に対応できるメリットもあります。

食べるものに触られたくない、感染症対策のために会話を最小限にしたい、という顧客ニーズも満たせるでしょう。

近年では、タッチパネルではなく「空間ディスプレイ」を用いた非接触セルフレジの開発も進んでいます。

また、顔認証や重量センサーで商品の購入金額をAIが自動で計算し、事前登録してある決済方法で支払いができる決済端末がない「レジレス」も便利です。

このような技術の開発が進めば、将来的には完全非接触での決済も実現するかもしれません。キャッシュレス決済であれば、現金に触れることなく精算することも可能です。

セルフレジの導入は、衛生面の対策においても役立っていることが分かります。

セルフレジを導入するデメリット

セルフレジを導入するメリットがある一方で、デメリットがあることも理解しておく必要があります。セルフレジのデメリットを理解できていれば、導入する際に対策を講じることができるでしょう。

ここからは、セルフレジ導入によって発生する可能性があるデメリットや、注意すべきポイントについて解説します。

導入コストがかかる

セルフレジの導入は、導入コストがかかる点がデメリットです。

セルフレジの導入には、フルセルフレジで1台100万円~300万円、セミセルフレジで80万円~400万円かかります。

セミセルフレジの導入費用がフルセルフレジを上回ることがあるのは、商品の読み取りを行う登録機と精算機をどちらも導入するケースがあるためです。

設置工事にかかる費用やシステム導入費などの初期費用がかかるほか、利用中は保守点検費用や修繕費などのランニングコストもかかります。

導入コストの支払い負担が増加しただけの状況を避けるためにも、費用の捻出が難しければ、リースやレンタルの利用を検討してみるのもおすすめです。

セルフレジの価格や導入コストを抑える方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

内部リンク:セルフレジの価格はどれくらい?導入費用を抑える3つのポイント

慣れるまでは操作が難しい

セルフレジは操作が難しく、慣れるまでに時間がかかるデメリットもあります。

現金支払いだけでなく、コード決済、各種ペイ払い、クレジットカードなど、支払い方法ごとに操作が異なる点が操作を難しくしている原因です。

また、ポイントカードやレジ袋の登録、商品バーコードがない野菜や果物類の登録作業が必要になるなど、操作工程が多岐にわたります。

操作が難しいことが原因で、セルフレジを避ける顧客も少なくありません。そのため、操作方法を明示する、導入直後はセルフレジ担当者を増やす、などの配慮が必要です。

また、飲食店であればレジ操作がシンプルな、発券機や券売機タイプの機種を導入するのも良いでしょう。

セルフレジの導入効果を引き出すコツ

チェックボックス

セルフレジの導入効果を引き出すには、導入する時点で顧客ニーズを満たせているか、店舗の状況に合う機種かを検討することが重要です。

ここからは、セルフレジの導入失敗を防ぐために、セルフレジのメリットを引き出す導入方法について解説します。

業種や客層にマッチする機種を選ぶ

セルフレジにはさまざまな種類があり、特定の業種に特化した機種や、支払いだけをセルフ化したセミセルフレジなどがあります。

例えば、飲食店なら発券機や自動精算機タイプ、利用客に高齢者が多い店舗ではセミセルフレジを導入するなど、目的に合わせることが大切です。

また、スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどの小売業ならレジ締めの自動化や在庫管理機能がある機種が適しています。

そのほか、クリニックなら患者のカルテや、受診データの管理ができる機種を選ぶのも良いでしょう。

セルフレジは、業種ごとに特化した機能が備わっている機種が豊富にあります。客層や業種に合わない機種を導入したことによるミスマッチは、セルフレジ導入後の売上低下をまねく原因になるので注意しましょう。

レンタルやサブスクでお試し導入する

レンタルやサブスクを利用して、1年間限定などお試しでセルフレジの導入を行い、顧客の反応を見るのも選択肢の1つです。

レンタルやサブスクなら、いつでも解約できるので、導入にかかるコスト負担も最小限で済みます。

導入店舗で利用者の反応をリサーチしたり、本格導入前にレジ業務のオペレーションを見直したりできる点がメリットです。

店舗に合わなければ機種を変更する、フルセルフレジではなくセミセルフレジを導入して有人レジを残す、などの対処方法を検討できます。

ただし、リース契約の場合は、数年単位での契約になるケースがほとんどです。そのため、お試し導入をする際は、契約期間を確認した上で利用を検討しましょう。

まとめ

セルフレジを導入すると、さまざまなメリットが得られます。

しかし、事前に導入する目的を明確にして機種選びを慎重に行わなければ、導入に失敗する可能性があるため注意しなければなりません。

セルフレジの導入によるメリットや効果を最大限に引き出すためには、導入する段階から導入方法やレジスタッフの業務オペレーションの見直しも進めることが大切です。