日本国内の労働人口の減少により、小売業界でも人手不足を解消するための省人化に注目が集まっています。これまで店舗で人が対応せざるを得なかった防犯や決済などは、昨今のAIやセンサー技術を含む最先端のデジタル技術によって、省人化が進んでいます。
究極の省人化である無人店舗も注目される中、今回はセキュリティシステムを提供している株式会社セキュア執行役員 CBDO平本 洋輔様にお話を聞きました。
―――ズバリ貴社が得意としている店舗施設の課題解決は何かを教えてください。
私たちが得意としている店舗施設の課題解決は、万引きなどへの防犯対策と、人手不足対策の省人化です。
主にこの2つをメインに我々は課題解決のソリューションを提案しています。
―――お客様が抱える課題に対してどのように解決をサポートしていますか?
まず、防犯対策でいうと、ロス率を減らすためのセキュリティ環境を構築しています。
不明ロス率は業界によって異なりますが、1%未満、もしくは0.5〜1%程度とされています。リテール業界では、その中の6〜7割が万引き、2〜3割が従業員による内部不正、1〜2割が管理ミスや棚卸し時の間違いです。
つまり、不明ロスの8〜9割程度は盗難が原因であると言えます。
これを減らすために、監視カメラの設置や事務所の入退室履歴を記録することで、セキュリティの環境構築を行っています。
さらに、店舗のスタッフは非常に忙しいので、防犯カメラの映像をじっくり確認する時間がなく、後追い対応になってしまったり、何かあった時にしか見ないことが多いです。
我々のサービスは監視センターを設け複数のカメラをモニタリングし、ブラックリスト化と管理を行い、再来店時には顔認証で万引き犯をキャッチし店員に通知するなどの対応をしています。そういった対応により、店舗側は接客防犯を実施するなど、万引き防止につなげることができます。
こうした対策で、万引きを撃退しロス率を低減させています。
省人化対策では、無人店舗の実証実験を行っています。
無人といっても棚卸しなどは必要なので、私たちは「省人化店舗」と呼んでいます。まずは30坪程度の規模の店舗から取り組んでいます。たとえば、コンビニやドラッグストア、スーパーの「夜間だけ24時間運営したい」といったニーズに対して、できる限り人手をかけずに店舗を運営するための省人化対策を提案しています。
また、最近新しくリリースした「GUARD-FORCE Standard」というサービスがあります。店舗内の防犯カメラの映像をAIが自動的に解析し、不審な挙動があった場合にはスマホに通知が届くというものです。防犯カメラを付けたからといって、万引き犯をカメラの前でずっと見張っていることは現実的ではありません。
我々はスマホのアプリを使ってトランシーバーのように従業員同士がコミュニケーションできる環境を提供し、不審者の情報がリアルタイムで店舗スタッフに共有されるようにしています。
たとえば、店外で路上駐車している車を検知した際に、見に行かなくてもスマホに通知が来て、イヤフォンをBluetoothで繋いでおけば読み上げも可能です。。店内で作業しながら耳で情報を受け取り、画像をスマホに送信し、近くのスタッフに指示を出す。そんな効率化を実現できています。
あとは、欠品問題の解決ですね。
欠品が小売ではチャンスロスにつながるので、売り場に商品が十分に並んでいるか、もしくは無くなりそうな商品を出せる準備をしておくことが重要です。そのためスタッフは15分に1回くらい売り場の確認に行くわけです。ただバックヤードと店頭を往復するのは作業を中断する必要がありますし、時間もかかります。そこでわざわざ店頭に行かなくても、スマホで定点的に売り場の状況がカメラの映像で分かる仕組みをご提案し、運用までサポートしています。
―――防犯を強化することで、効率化や省人化にもつながるのですね。
監視カメラや入退室管理システムの設置、防犯目的で万引き犯や内部不正を防ぐという事例だけではなく、
省人化を含めると作業の効率化を図るという事例も増えてきています。
外部ロス対策をすると内部ロスも下がるということがあり、状況にもよりますが外部ロスと内部ロスを合わせて最終的に6〜7割ぐらいは削減できた実績があります。
―――そんな中、レジレス・無人決済店舗 も進められていますが、こちらも省人化に寄与しているのでしょうか?
私たちのシステムは商品を手にとってそのまま出るだけで良いので、最終的にPOSレジで確認して支払いをする必要がありません。レジ待ちがないことで、ストレスフリーで買い物ができるのが最大のメリットだと思います。
また、店舗運営者側から見ると、販管費を削減し、運用コストを下げながら省人化運営を実現できるという点も大きなメリットです。
―――貴社を一言で表すとどんな課題解決のプロですか?
防犯と省人化をテーマにした課題解決のプロフェッショナルです。
―――最後に今後の展望を教えてください。
今後の展望としては、設置して終わりになっている監視カメラの利活用です。設置して終わりではなく、もっとカメラを使ってもらうためにお客様の運用代行などを行い、カメラの利活用を促進していきたいと考えています。
すでに店舗に設置されているカメラを活用し、たとえば棚の前に設置したカメラが減った商品を検知して補充を促すなど、AIの技術を活用しつつ店舗オペレーションを自動化する仕組みを構築したいと考えています。
セキュリティシステムのインテリジェンス化をすすめて、防犯カメラを「何かあったときに使うもの」から「普段使いできるもの」という考え方に変えていきたいと思います。
―――ありがとうございました。