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2025/03/28

飲食店開業時のチェックリスト!準備の見落としを防ぐポイントを解説

  • 飲食店開業支援
飲食店開業時のチェックリスト!準備の見落としを防ぐポイントを解説

飲食店を開業する際、準備しなければならないことが多く、開業後になってから準備の過不足を感じることも多くあります。

とくに、営業に必要な設備や備品類は、準備に追われる中で見落としが発生することも多いので注意が必要です。

そこで今回は、飲食店開業までに必要な準備物を「飲食店開業チェックリスト」として紹介します。また、開業前の準備段階で注意しておくべきポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

飲食店開業までの準備の流れ

飲食店を開業するまでの準備は、以下の流れに沿って進めるケースが一般的です。

  1. コンセプト設計を組み立てる
  2. 事業計画書を作成する
  3. 自己資金の貯蓄・資金調達・融資の申請を行う
  4. 商圏分析を行って出店場所を選定する
  5. 不動産屋で最適な店舗物件を探す
  6. 提供する料理やメニューを開発する
  7. 店舗物件を契約する
  8. 店舗の内装・外装の施工を依頼する
  9. 厨房設備を選定・購入・リース契約する
  10. 什器や備品類を揃える
  11. 必要な届出や申請の手続きを行う
  12. 店舗スタッフの採用と教育を行う
  13. チラシ配布やポスティングで開業を宣伝する
  14. プレオープンで業務オペレーションを実践する
  15. 業務オペレーションを改善する
  16. 開業する

これらの流れはあくまで一般的なケースであり、状況によっては都度再調整や設備の再検討が必要になる場合もあります。

重要なのは早め早めに準備を進めていくことです。開業直前になって準備不足で焦ることがないよう、チェックリストを活用しながら着実に準備を進めていきましょう。

参考記事:飲食店開業までの流れと必要資格|開業準備はいつ始めるのがベスト?

【コンセプト設計】飲食店開業時のチェックリスト

企画案が書かれた書類が散らばっているイメージ

飲食店開業時のコンセプト設計において、チェックしておきたい項目は以下の通りです。

  • いつ開業するのか(when)
  • どこで開業するのか(where)
  • 誰をターゲットにするのか(who)
  • なにを提供するのか(what)
  • なぜそれを提供したいのか(why)
  • どのようにして顧客に伝えるのか(how)

コンセプト設計では、「こんな店舗を出したい」というイメージだけが先行しがちになります。

そのイメージをどのような形で叶えるのか、誰をターゲットにするのかを明確にしておかなければ、店舗の魅力が顧客に伝わりません。

コンセプト設計では、自店舗のイメージを固めるだけでなく、誰に向けてどのように伝えていくかまで検討しておくことが大切です。

【事業計画書策定】飲食店開業時のチェックリスト

事業計画書を策定する際は、以下のチェックリストを満たせているか確認しておきましょう。

  • 開業資金はランニングコストを見越して準備できているか
  • ターゲット層・メニューが明記してあるか
  • 自店舗ならではの強みは記載できているか
  • どのような方法で売上を伸ばす予定なのか
  • 事業計画は数値を盛り込んであるか

事業計画書の策定では、テンプレートに沿って内容を埋めていくだけでなく、上記のような項目を意識して記載することが大切です。

とくに、事業計画書は創業時の融資審査でもチェックされるため、緻密に練り上げておきましょう。

【店舗物件選定】飲食店開業時のチェックリスト

店舗物件を選定する際は、以下のチェック項目に沿って確認しておきましょう。

  • 商圏分析は行ったか
  • 立地条件は適切か
  • 店舗の規模は事業計画書に見合っているか
  • 初期費用(敷金礼金・事前支払い分の賃料)に見合う物件か
  • 契約条件は隅々まで確認したか

店舗として利用する物件は、基本的に敷金礼金だけでなく、事前に半年から1年分の賃料を支払う必要があります。店舗賃料は固定費として毎月発生するため、経費の中でも大きな割合を占める項目です。

そのため、飲食店経営を長期的に続ける中で過度に負担な金額ではないか、事業計画書通りに売上を伸ばしていけそうか考えながら選定しましょう。

【資格・許認可取得】飲食店開業時のチェックリスト

飲食店開業時には、資格・許認可の取得も必要になります。とくに見落としやすい項目なので、しっかりと確認しておきましょう。

  • 食品衛生責任者の資格は取得できているか
  • 防火管理責任者の資格は取得できているか
  • 保健所の飲食店営業許可証は取得できているか
  • 個人事業の開業届出書もしくは法人設立届出書は提出したか
  • 税務署に給与支払事務所等の開設届出書は提出できているか(従業員を雇用する場合)
  • 税務署に源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書は提出できているか

食品衛生責任者の資格は、調理師免許や栄養士免許を取得している場合は講習を受けず、申請のみで取得できます。

飲食店営業許可証に関しては、店舗出店地を管轄している保健所で申請しましょう。キッチンカーやイベント出店などの場合、出店場所それぞれでの申請が必要になるので、移動販売を行う際は注意が必要です。

参考記事:飲食店開業に必要な資格一覧|調理師免許の有無や届出の申請についても解説

【外装・内装】飲食店開業時のチェックリスト

飲食店の客席のイメージ

飲食店の外装・内装の工事を行う際は、以下のチェックリストに沿って確認しておきましょう。

  • 看板のデザインはコンセプトに合うか
  • 看板の照明は見やすい照度か
  • どのようなジャンルの店舗かが見て分かる状態か
  • コンセプトに合う外装・内装になっているか
  • 店内の照明は適切か
  • 客席や厨房の動線に問題はないか
  • 冷暖房設備は店舗の規模に見合うか
  • インターネット・Wi-Fi設備は店内どこからでも接続できる状態か
  • トイレやシンクなどの水回りはきちんと整備できているか
  • 防火設備(消火器・火災警報器)・防犯システム(防犯カメラ・レジの防犯)は問題ないか

外装・内装は、店舗の規模やコンセプト、業態によって必要な項目が異なります。

見落としを防ぐためには、まず事前に必要なものの準備リストを用意しておくなど、自分でも対策しておくことが重要です。

また、営業許可証の取得に影響する水回りや防火設備などは、とくに見落としがないようチェックしておきましょう。

【厨房設備・調理器具】飲食店開業時のチェックリスト

飲食店開業に備えて厨房設備・調理器具を準備する際は、以下の項目をチェックしておきましょう。

  • 調理台・コールドテーブル
  • シンク・業務用食洗機
  • 業務用冷蔵庫・冷凍庫
  • ガスレンジ・フライヤー
  • スチームコンベクション・オーブン
  • 製氷機・ウォータークーラー
  • 食器棚・調味料棚
  • 炊飯器
  • 鍋・フライパン類
  • まな板・包丁・計量器具
  • ボウル・ザル・バット・タッパー
  • 食器類
  • 消毒用具・ビニール手袋
  • ゴミ箱・ゴミ袋
  • 清掃用具

業態によって、上記のほかに必要になるものもあれば、不要なものもあります。調理フローをイメージしながら、具体的に必要なものをリストアップしておくと良いでしょう。

また、合わせてキッチンのどこになにを配置するか、設置場所や収納についても検討しておくことが大切です。

収納や調理工程・提供までの動線を意識しながら、導入する機器類のサイズや種類を選定する必要があります。

【客席備品】飲食店開業時のチェックリスト

飲食店開業に向けて、キッチンだけでなく客席(ホール)の準備物も確認しておきましょう。

  • テーブル・椅子・お子様用椅子
  • つまようじ・卓上調味料類
  • 伝票立て・伝票ホルダー
  • 水用グラス・ドリンク用グラス・ジョッキ類・ティーカップ・コーヒーカップなど
  • カトラリー類(箸・スプーン・フォーク・ナイフ・お子様用食器など)
  • コースター・箸置き
  • 紙ナプキン・おしぼり・ダスター(台拭き)
  • 荷物入れ・ひざ掛け
  • メニュー表・メニューブック・メニュー立て・テーブルオーダー用タブレットなど
  • 呼び出しベル・呼び出しボタン
  • 時計・傘立て
  • 清掃用具
  • 入口マット
  • 配膳ロボット
  • 電話・予約管理システム

提供するメニューの種類や業態、ターゲット層によって必要なものが異なるので注意が必要です。例えば、おしぼり1つでも使い捨てのものを使うか、レンタルしておしぼりウォーマー・おしぼりクーラーを導入するかを選択できます。

また、モバイルオーダーシステムを導入する場合、メニュー表は必要ないものの、テーブルオーダー用のタブレットやQRコードスタンドなども必要になってくるでしょう。

そのほか、店舗の規模や業態によっては、配膳ロボットの導入を検討してみるのもおすすめです。食器やグラス類は割れることもあるので、消耗品と考えて多めに準備しておくと良いでしょう。

【オーダー連携・レジ設備】飲食店開業時のチェックリスト

キャッシュトレーにレジと用紙・ペンを載せて手渡すイメージ

飲食店では、料理のオーダーをとる設備や会計・清算をする際のレジ設備も必要になります。具体的には、以下の項目の設備を準備しておくと良いでしょう。

  • ハンディオーダー・オーダー(注文)用紙
  • キッチンプリンター・キッチンディスプレイ
  • モバイルオーダーシステム・テーブルオーダーシステムの導入
  • セルフオーダーシステム・事前決済KIOSK端末・券売機の導入
  • キャッシュレジスター・POSレジ・セルフレジ(自動精算機)の導入
  • キャッシュレス決済端末の導入
  • 釣銭トレー・スタンプカード・ポイントカード
  • 領収書・収入印紙・印鑑
  • 銀行口座の開設

店舗の顧客層や業態によって、最適なレジ設備は異なります。顧客の年齢層が高く、シニア世代が中心の場合は、キャッシュレス決済よりも現金決済の設備を充実させた方が良いでしょう。

また、ラーメン屋・定食屋などの場合、席でのオーダー受注よりも券売機や事前決済KIOSK端末を導入した方が、精算・オーダーの流れをスムーズにできます。

さらに、スタンプカードやポイントカードは、店舗アプリ・LINEミニアプリを導入して、デジタル化することも可能です。

このように、アナログ設備だけでなく店舗DXの有無も踏まえて、導入する設備の選定を行う必要があります。

参考記事:飲食店開業に必要な設備一覧|準備すべき備品や選定時の注意点を解説

【販促・集客】飲食店開業時のチェックリスト

飲食店開業に向けて準備を進める際は、販促・集客手段を確保しておく必要があります。以下のチェックリストをもとに、自店舗に必要な販促・集客手段を検討してみましょう。

  • SNS・Webサイト(公式サイト)
  • 看板・のぼり
  • 広告・DM・チラシ
  • クーポン券・スタンプカード・ポイントカード
  • 店舗名刺・チラシ(SNSやLINE公式アカウントへ誘導できるもの)

店舗のターゲット層に合わせて、販促・集客手段を組み合わせることが大切です。スマホで情報収集をすることが多い若い世代がターゲットなら、店舗アプリでのサービス提供やSNSでの情報発信に力を入れると良いでしょう。

SNSの利用率が低いシニア世代の顧客層がターゲットなら、アナログのクーポン券やスタンプカード、折込チラシなどを検討してみるのもおすすめです。

飲食店によっては、オリジナルのノベルティグッズを作成したり、商圏分析ツールを活用してチラシのポスティングエリアを絞ったりしているケースもあります。

参考記事:商圏分析とは?目的や重要性・無料で使えるツールも紹介

【スタッフ採用】飲食店開業時のチェックリスト

飲食店の規模によっては、従業員の雇用が必要なケースもあります。スタッフ採用を検討している場合は、以下のチェック項目を意識しておきましょう。

  • スタッフ用ユニフォームは各サイズ取り揃えてあるか
  • スタッフルーム・更衣室の確保
  • タイムカード・シフト表
  • ハンディターミナルの使い方周知・マニュアル作成
  • 正社員・アルバイト・パートそれぞれの雇用契約書

飲食店でスタッフを採用する場合、ユニフォームの準備が必要になります。ホールスタッフであればエプロンのみで良い店舗もありますが、ロゴを入れたり複数サイズを用意したりする場合は、事前に発注しておかなければなりません。

また、シフト管理に関してはアナログで作成する方法もありますが、シフト管理システムを導入したり、勤怠管理機能が備わっているPOSレジを導入したりするのもおすすめです。

ITツールをうまく活用することで、シフト作成や給与計算などバックオフィス業務の効率化につながり、店舗経営に注力できるようになります。

参考記事:飲食店におすすめのPOSレジを業種・業態別で9選紹介|選び方のポイントは?

飲食店開業前に注意すべきポイント

飲食店開業に向けて準備を進めるときは、以下3つのポイントに注意が必要です。

  • 開業資金は余裕をもって準備しておく
  • 資格取得・許認可申請は早めに済ませる
  • 開業のサポートを受ける

それぞれ、注意しておくべき理由や飲食店の開業準備でつまずくポイントについて解説します。

開業資金は余裕をもって準備しておく

飲食店の開業準備を進める際、開業資金は余裕をもって準備しておくことが重要です。一般的に、飲食店の開業資金は、キッチンカーで300万円~800万円、店舗開業で1,000万円以上必要だと言われています。

しかし、これはあくまで目安であり、店舗の立地や規模・業態によっては、この金額を大きく上回るケースも少なくありません。

開業資金を準備する際は、金額にとらわれるのではなく、店舗を開業して収益が伸びるまでの運転資金を確保できているかを意識しましょう。

開業後半年~1年程度の運転資金・生活費を確保し、収益が伸びてくるまで店舗の運営に注力できる環境を整えることが大切です。

資格取得・許認可申請は早めに済ませる

飲食店の開業に必要な資格の取得や許認可申請は、可能な限り早めに進めましょう。資格を取得するための講習日程が限定されていたり、許認可申請に締め切りが設けられていたりするためです。

開業前後でなければ申請できない許認可もあるため、資格取得や許認可申請のタイミングは、スケジュール管理を行って見落とさないように注意してください。

とくに、開業時に利用する融資申請は審査に時間がかかります。早めに申請するか、申請サポートを行っている事業者に依頼するなど、スムーズに申請できるように準備しておきましょう。

開業のサポートを受ける

飲食店を開業する際、準備に追われて見落としてしまうのは、すべての準備を一人で進めようとしていることが原因の1つです。そのような場合には、飲食店開業のサポートサービスを活用してみると良いでしょう。

各業態に特化した設備導入サポートを行っている事業者もあれば、融資申請や補助金・助成金の申請をサポートしている企業もあります。

有償での依頼にはなるものの、開業準備に不安を抱えている場合は、プロのサポートを受けるのもおすすめです。

参考記事:飲食店開業支援のサービス紹介と比較

まとめ

飲食店の開業準備は、チェックしておかなければならない項目が多岐にわたります。そのような中で導入する設備を比較検討するのは、負担が大きいという方も多いでしょう。

Bizcanでは、店舗開業や業務改善に役立つツール・設備の情報を随時発信しています。

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