飲食店を開業しようと考えている場合、時間に余裕をもって開業準備を進めることが大切です。しかし、具体的にいつから着手すれば良いのか、なにから準備すれば良いのか、わからない方も多いのではないでしょうか。
「開業資金の準備は?」「許認可申請はなにが必要?」「物件はどこにすべき?」など、考えなければならないことは山積みです。
本記事では、飲食店を開業しようと考えている方に向けて、開業までの大まかな流れや開業準備にかかる期間の目安のほか、開業前の期間ごとに進めておきたい開業準備について詳しく解説します。
飲食店開業までの流れ
飲食店開業までの大まかな流れは、以下の通りです。
- コンセプト設計する
- 事業計画を策定する
- 資金調達や融資の申請を行う
- 不動産屋で店舗物件を探す
- 料理やメニューを開発する
- 店舗物件を契約する
- 店舗の内装・外装を設計して施工する
- 厨房設備を選定・購入する
- 什器や備品類を揃える
- 必要な届出や申請の手続きを行う
- 店舗スタッフの採用と教育を行う
- チラシ配布やポスティングで開業を宣伝する
- プレオープンで業務オペレーションを実践する
- 業務オペレーションを改善する
- 開業する
これらは大まかな流れであり、細かな調整や再考なども都度必要になる場面があります。また、資金調達に関しては、飲食店を開業する数年前から自己資金の貯蓄を進めておく必要もあるでしょう。
「自己資金が足りず融資が受けられなかった」といった事態にならないよう、開業までに必要な自己資金は計画的に準備しておきましょう。
参考記事:飲食店開業時のチェックリスト!準備の見落としを防ぐポイントを解説
飲食店開業に必要な資格
飲食店を開業する上で、必ず必要になる資格は「食品衛生責任者資格」と「防火管理者資格」です。食品衛生責任者は飲食店1店舗に各1名配置しなければなりません。
一方で、防火管理者資格は店舗のキャパシティが店舗スタッフを含めて30名以上になる店舗で、選任者の配置が必要になる資格です。
飲食店の開業資格といえば、調理師免許をイメージする方も多いでしょう。しかし、調理師免許は必須ではないため、取得していなくても開業・調理業務に従事することは可能です。
一方で、取得していれば知識やスキルを証明できることから、顧客の安心感につながります。
参考記事:飲食店開業に必要な資格一覧|調理師免許の有無や届出の申請についても解説
飲食店の開業準備にかかる期間の目安
飲食店の開業準備にかかる期間の目安は、約1年です。最低でも半年以上は、準備に時間がかかると考えておきましょう。
物件探しや設備・機器類の選定のほか、資格取得・許認可申請が通るまでの期間なども想定しておく必要があります。また、融資審査を受ける場合も同様に、余裕をもって申請しておきましょう。
そのほか、実際に開業準備に着手する期間だけでなく、自己資金を貯める期間も数年程度必要になります。貯められるペースには個人差があるものの、基本的に自己資金なしでの開業は難しいと考えておきましょう。
開業準備【6カ月~1年前】
開業まで6カ月~1年の時期は、開業準備に着手し始めるタイミングです。
- コンセプト設計する
- 事業計画を策定する
- 資金調達や融資の申請を行う
- 不動産屋で店舗物件を探す
飲食店の開業準備を始めるにあたり、まずは、どのような店舗にしていくか、方向性を決めるために重要な「コンセプト設計」を行います。
コンセプト設計をする際には、自分のやりたいことだけでなく、具体的にどのようなターゲット層にアプローチしていくのかを想定しましょう。
例えば、ランチをメインに扱う飲食店ならオフィス街の周辺、主婦層をターゲットにしている店舗なら住宅街など、店舗の出店場所にも影響するためです。
また、具体的にどのような方法でどれだけの収益を見込んでいるのかを算定し、事業計画書を作成する必要があります。その上で、資金調達や店舗物件探しなども行っていきましょう。
資金調達には、自己資金のほかに補助金・助成金を活用したり、融資を受けたりする方法があります。
参考記事:飲食店開業の資金はいくら必要?資金調達方法と自己資金の目安や補助金・助成金制度まとめ
開業準備【3カ月~6カ月前】
開業まで3カ月~6カ月前頃には、実際の店舗を作る工程に着手していきます。
- 料理やメニューを開発する
- 店舗物件を契約する
- 店舗の内装・外装を設計して施工する
開業まで3カ月~6カ月の期間は、事業計画書や店舗のコンセプト設計に合わせて、具体的な内容を詰めていく段階です。
店舗の内装や外装を決めたり、提供する料理やメニューの開発を進めたりと、いよいよ自分の店舗を構えることが現実味を帯びてくるでしょう。
料理やメニューを開発する際は、自店舗ならではの看板メニューを開発することが重要です。また、料理に使用する材料類の仕入れルートなども、開発したメニューに応じてリサーチしておきましょう。
開業準備【2週間~3カ月前】
開業2週間~3カ月前までの期間は、店舗の完成作業と営業開始に向けて必要な手続きを進めていきます。
- 厨房設備を選定・購入する
- 什器や備品類を揃える
- 必要な届出や申請の手続きを行う
- 店舗スタッフの採用と教育を行う
店内の内装をテーブルや椅子、厨房機器類、レジ設備にいたるまで、営業に必要な状態に整えましょう。また、開業届などの必要な書類を提出したり、飲食店営業許可申請などを行ったりする必要があります。
また、店舗でスタッフを雇う場合は、求人を出して採用活動を行い、業務の進め方を指導しておくと良いでしょう。オープニングスタッフとして募集を出すことで、開業に伴う募集であることが伝わります。
参考記事:飲食店開業に必要な設備一覧|準備すべき備品や選定時の注意点を解説
開業準備【開業1週間~2週間前】
開業1週間~2週間前になったら、いよいよ本格営業に向けた試験営業の時期です。
- チラシ配布やポスティングで開業を宣伝する
- プレオープンで業務オペレーションを実践する
店舗周辺でチラシ配布やポスティングを行い、開業することを大々的に宣伝しましょう。店頭に、開業日時を記載したチラシを掲示しておくのも効果的です。チラシにクーポン券を添えておくと集客力の向上が期待できます。
また、知人やお世話になった人などの関係者を集めてプレオープンを行い、業務の進め方や店内のオペレーションを試験的に運用してみるのもおすすめです。
本格的な営業開始の前にプレオープンを行っておくことで、課題が見つかり、開業後のスムーズな店舗運営につながります。
開業準備【開業直前~1週間前】
開業まで1週間を切ったら、営業開始に向けた準備を進めましょう。
- 業務オペレーションを改善する
プレオープンでどのような課題があったのかを洗い出し、より効率良く業務を進めるために改善していきます。また、仕入れの過不足はないかチェックしておくのも良いでしょう。
顧客体験の向上につながるよう、既存のレジ設備に追加でキャッシュレス決済端末を導入したり、予約管理システムを導入したりするのもおすすめです。
店舗を営業していく中で、さまざまな課題が出てくるため、開業前に完璧に準備できていなかったとしても、状況に応じて対応していけば良いと考えておけば精神的な負担の軽減につながります。
飲食店の開業準備はいつから始めるのがベスト?
飲食店の開業準備を始めるタイミングは、1年前がおすすめです。必要な資格を取得したり、許認可申請や融資審査などには数週間から1カ月程度の期間がかかるケースもあり、余裕をもって対応しなければなりません。
とくに、申請書類に不備があって再提出が必要になると、さらに時間がかかります。余裕をもって開業準備ができていないと、結果的に準備に遅れが生じて開業予定日が後ろ倒しになる可能性があるので、計画通りに準備が進まないことを前提としたスケジューリングが必要です。
もし、最短で準備したいという場合であっても、最低限半年前には開業準備を始めましょう。
まとめ
飲食店の開業準備は、考えなければならないことが山積みです。理想と現実のバランスを取りながら、自分だけの店舗作りを目指して尽力しなければならない時期です。
一方で、大まかな準備の流れを把握できていれば、余裕をもって対応できます。また、店舗の出店場所を選ぶ際には商店分析ツールを活用したり、店舗の売上管理ができるPOSレジを導入したりして、ツールもうまく活用していくと良いでしょう。
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