配膳ロボットを導入している飲食店は近年増えつつあります。何気なく入った店舗で、配膳ロボットを目にする機会も増えたのではないでしょうか。店舗経営の観点からいえば、これから配膳ロボットの導入はさらに拡大していくのか、導入してどのようなメリットがあるのかなど、気になることも多いはずです。
本記事では、配膳ロボットの市場規模や導入メリット、注意点や費用相場などを解説します。
配膳ロボットとは?
配膳ロボットとは、飲食店において料理などの配膳、下膳を行ってくれるロボットの総称です。従来、飲食店ではスタッフが料理やドリンクの配膳、下膳をするのが当たり前の業務フローでしたが、配膳ロボットの普及により、徐々に変化しつつあります。
配膳ロボットの特徴として挙げられるのは、以下のポイントです。
- 料理・ドリンクを自動で配膳
- 食べ終わった食器なども持ち運びができる
- ルートを最適化し自立走行する
配膳ロボットを導入することで、非接触で安全かつスムーズに料理の提供、片付けを行うことが可能です。これにより、飲食店における大幅な業務効率化に貢献できます。
配膳ロボットを活用することで、店舗における配膳業務の効率化などが期待できます。
配膳ロボットの市場規模はどれくらい?
普及しつつある配膳ロボットではありますが、市場規模はどの程度になるのでしょうか。
株式会社富士経済※が発表したデータによれば、配膳ロボットを含む「サービスロボット」の世界市場は2兆3,447億円、配膳ロボットの市場規模に限ると1,028億円です。
また、上記データでは、配膳ロボットなどの「サービスロボット」の市場は今後も成長を続け、2030年には世界全体で4兆1,850億円に到達するという予測もしています。
近年、チェーンのレストランなどで見かける機会の多くなってきた配膳ロボットですが、今後はさらにさまざまな店舗で導入が加速していくといえるでしょう。
※参照:Fuji Keizai Group Press Release 第23019号
このように、配膳ロボットの市場規模は成長傾向にあり、今後もその傾向は継続していくとみられています。
配膳ロボットの導入メリット4選
本項では、配膳ロボットの導入メリットを4つのポイントから解説します。
人手不足を補える
飲食店が抱える課題として、慢性的な人手不足が挙げられますが、配膳ロボットはこの人手不足の解消の糸口とすることができます。
多くの飲食店では調理スタッフやホールスタッフなど役割分担のもとで業務を行っている状況ですが、その中には学生などのバイトスタッフも含まれます。バイトスタッフは入れ替わりも激しく、スタッフが辞めてしまったタイミングで人手不足に陥っている店舗も多いのではないでしょうか。
その点、配膳ロボットは導入さえ済ませてしまえば自動で配膳業務を行ってくれるため、人手不足を補える点は魅力といえます。
生産性向上
人が行う業務とは違い、配膳ロボットは「配膳」「下膳」という業務を自動、かつ効率的に行ってくれます。この点において、飲食店における配膳業務の生産性向上に貢献可能です。
また、配膳ロボットが配膳業務を自動で行ってくれる分、人員をその他の業務に集中させられます。配膳以外の業務に割ける人員を増やすことで、調理などの業務生産性向上も期待できるでしょう。
衛生面でも安全
2020年に始まったコロナ禍以降、飲食店の衛生面に注意を払う人は多くなりました。記事を読んでいる方の中にも、できれば非接触でサービスを受けたい、という考えを持っている人もいるでしょう。
配膳ロボットは完全非接触で料理やドリンクの提供を行えるため、店舗の衛生面を改善させる効果も期待できます。
「衛生面に配慮したお店」として安全にサービスの提供ができるのは、配膳ロボット導入によるメリットの一つです。
人件費削減
配膳ロボット導入により、人件費削減に繋がる点もメリットの一つといえます。
飲食店において発生するコストの一つとして無視できないのは、「人件費」です。時期や日によって売り上げが上下しやすい飲食店の中で、人件費が課題となっている店舗も多いのではないでしょうか。
その点、配膳ロボットを導入すればある程度ホールスタッフの人員を削減できるため、人件費削減を目指している店舗にも配膳ロボットはおすすめです。
本項で紹介したように、配膳ロボットを導入することで、店舗が抱えるさまざまな課題の解決が期待できます。
配膳ロボットを導入する際の注意点とは?
本項では、配膳ロボットを店舗に導入する場合に注意すべきポイントを解説します。
導入にコストがかかる
まず挙げられる注意点は、配膳ロボット導入にかかるコストが挙げられます。
導入する配膳ロボットの機種や購入方法によってコストにはある程度差が出ますが、それなりの予算が必要となります。店舗の設備投資にある程度予算を割ける企業であれば導入も視野に入りますが、個人店などでは導入自体難しいこともあり得るでしょう。
配膳ロボットの導入を検討する際は、まず導入できるだけの余裕が自店にあるかどうか、慎重な検討が必要です。
混雑時の運用が難しい
配膳ロボットは基本的に人感センサーで停止するよう設計されています。そのため、導線設計があまりできていない飲食店では、混雑時配膳ロボットの導線に人が溜まってしまい、配膳業務が上手く進行できないリスクも考えられるでしょう。
そのため、ランチタイムやディナータイムなど、混雑時の導線設計が上手くいっていない店舗はまず配膳ロボットがしっかりと機能するよう店舗レイアウトを再検討する必要があります。
店舗オペレーションを変更する必要がある
配膳ロボットを導入することで、店舗のオペレーションを変更する必要があるため、注意しましょう。
飲食店における通常のオペレーションは、注文を受け、注文をもとに調理を行い、ホールスタッフが注文卓に届ける、というのが基本になります。
しかしながら配膳ロボットを導入した場合、調理完了後の配膳を配膳ロボットが行うことになるため、従来のフローとは異なります。
配膳ロボット導入後、スムーズに業務を進行できるよう、事前に業務オペレーションの変更点を従業員間で共有しておくことが重要です。
配膳ロボットを導入する際は、本項で紹介した内容に注意して運用に踏み切りましょう。
配膳ロボットの導入にかかる費用の相場は?
実際、配膳ロボット導入にはどの程度の費用が必要となるのでしょうか。配膳ロボットの店舗導入には「購入」、「レンタル」、「リース」と3つの方法があります。
購入の場合、機種にもよりますが、基本的に200万~300万円の初期費用と維持費が必要です。
また、レンタル・リースについては月額5万~10万円程度が一般的な費用相場といえます。
購入に関してはかなりコストがかかるように見えますが、配膳ロボットを導入することで人件などのコスト削減に繋がることを考慮すると、中長期的に考える必要があるでしょう。
また、レンタル・リースでも、サービスによってメンテナンスなどのサポートサービスが付帯しているものが多いため、多角的な観点からメリットとデメリットを判断する必要があります。
このように、配膳ロボット導入にかかる費用感を把握したうえで、店舗への導入を検討してみましょう。
まとめ
本記事では、配膳ロボットの市場規模や導入メリット、注意点や費用相場を解説しました。配膳ロボットを導入することで、店舗の人材不足や業務効率など、さまざまな課題の解決に役立ちます。
配膳ロボットの導入を検討している場合には、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。