「業務用グリドルって何?」「ガスと電気どっちがいい?」
厨房機器の導入を検討する中で、こんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
業務用グリドルを選ぶ際は、加熱方式(ガス式・電気式)、設置タイプ、鉄板サイズ、ガス種、温度調整機能の有無などを基準に選定すると良いでしょう。しかし、メニューによって必要な性能も異なるため、自店舗にマッチする機種を選定することが重要です。
本記事では、 鉄板焼き・お好み焼き・焼きそばなど幅広いメニューに活用できる業務用グリドルの選び方とおすすめ製品5選をわかりやすく解説します。厨房機器選定に失敗したくない飲食店オーナー・厨房担当者の方は必見です。
グリドルとは?業務用厨房機器の基本知識
グリドルとは、業務用厨房で鉄板焼き料理を効率よく調理するために使用される平面型の加熱調理機器です。「焼き物器」「鉄板焼機」とも呼ばれます。
グリドルは、厚みのある鉄板の上でステーキ、焼きそば、お好み焼き、ハンバーグなどを均一に加熱できる業務用厨房機器です。鉄板の厚さやサーモスタット機能の有無によって焼きムラを抑えつつ、食材本来の旨味を引き出しながら調理できます。
厨房の設備環境に応じて、都市ガス対応のガスグリドルや電気式グリドルなど、さまざまなタイプのグリドルを選択できます。例えば、卓上タイプの小型グリドルは、店舗の省スペース化を実現し、イベントや屋台などの移動型営業にも重宝される機種を選定するのも選択肢の1つです。
一方で、グリドルと似た厨房機器にグリラー(赤外線グリルや上火式焼物器など)があります。グリラーは波型の網やプレートの上で主に上部または下部からの熱で加熱する方式を採用しており、主に魚の塩焼きや肉のグリル調理に適しているのが特徴です。
厨房機器としてのグリドルは、加熱効率・作業導線・設置スペースの最適化を実現できるため、飲食店経営者や厨房責任者にとって導入価値の高い調理機器と言えます。用途や調理メニューに応じて、ガス式か電気式か、サイズや性能も含めて比較検討しましょう。
電気グリドルとガスグリドルの違い・選び方は?
業務用グリドルを選ぶ際には、電気式とガス式の違いを理解し、自店舗の厨房環境や調理スタイルに合ったタイプを選定することが重要です。
- 電気グリドルのメリット・デメリット
- ガスグリドルのメリット・デメリット
上記についてそれぞれ解説します。
電気グリドルのメリット・デメリット
電気グリドルは、安全性や設置のしやすさに優れた厨房機器です。小規模店舗での導入だけでなく、電源主体の調理環境にも適しています。
電気グリドルを導入するメリットは、以下の3項目です。
- 火を使わず電気ヒーターで加熱するため、火災リスクが低く安全性が高い
- 都市ガスやプロパンガスの配管工事が不要で、設備投資を抑えながら設置できる
- 卓上型のコンパクトモデルなら、省スペース厨房や移動販売でも活躍する
サーモスタット付きモデルの電気グリドルなら、鉄板の温度を一定に保ちやすく、クレープや薄焼き料理など温度管理が重要なメニューに対応できる点がメリットです。
一方で、電気グリドルには以下のようなデメリットもあります。
- 火力や加熱スピードではガス式に劣りやすい
- 厨房全体の電気容量を圧迫することがある
電気容量の圧迫を防ぐため、電気グリドルの導入前には契約電力や配線環境を確認しましょう。
ガスグリドルのメリット・デメリット
ガスグリドルは、強い火力と加熱スピードに優れた業務用厨房機器で、鉄板焼きや焼きそばなどの高温調理に適している設備です。具体的には、以下のメリットが挙げられます。
- 立ち上がりが速く、高温調理に向いている
- 均一加熱や高火力性能に優れており、作業効率アップにつながる
ステーキ、ハンバーグといったメニューでは、ガスグリルの強火による焼き目と香ばしさを活かした仕上がりが可能です。
一方で、ガスグリドルには以下のようなデメリットがあります。
- ガス種(都市ガス or LPガス)を誤ると使用できない
- 設置にはガス管接続が必要で、初期導入に若干の工事費用が発生する
- 清掃時は冷却時間を考慮する必要がある
上記を考慮し、ガスグリルの設置前はガス種や工事費用を確認しましょう。
厨房機器グリドルの人気メーカー5選
ここでは、グリドルのおすすめメーカー5選をご紹介し、それぞれの特徴を解説します。
- マルゼン
- タニコー
- コメットカトウ
- イトキン(伊東金属工業所)
- 三宝ステンレス工業
グリドルのメーカー選びで迷っている方は、以下の5社を比較し、自店舗に合った製品を選定すると良いでしょう。
マルゼン
業務用厨房機器の総合メーカーである株式会社マルゼンは、多様なガスグリドル・電気グリドルから電気多目的焼物器まで、様々な種類のグリドルおよび関連製品を提供しています。
ガスグリドルのサイズは6機種から選べ、圧電式自動点火と立ち消え安全装置が搭載されているのが特徴です。価格はモデルによって異なり、例えば209,000円~322,000円(税抜標準価格)の範囲のものが見られます。
電気グリドルのサイズは4機種から選べ、メニュー機能を搭載したデラックスタイプもあります。
タニコー
タニコーも複数種類のガスグリドル・電気グリドルを取り扱っています。タニコーの電気ヒーター式グリドルの特徴は、オーバーシュートが小さいため設定温度を保つことが可能で、熱効率が良く故障が少ない点です。ガスグリドルは形状自由度が高く、シンプルで簡単な操作がメリットです。
タニコーでは製品の性能や使い勝手が気になる方のために、製品の貸し出しを行っており、担当者が訪問して使用方法やレシピ作りをサポートするサービスを提供しています。
コメットカトウ
熱機器に強いコメットカトウのガス赤外線グリドルは、赤外線バーナーで均一な加熱を実現し、安心・安全・清掃性を兼ね揃えた大容量油缶が特徴です。
電気グリドルはCAセンサを採用し、1℃間隔で細かい温度設定が可能です。蓄熱性&応答性のバランスの良い厚みのある19ミリのグリルプレートで、負荷の強い冷凍食材でもストレスなく調理できます。また、両面焼きグリドルであるデュプレックスクッカーも取り扱っています。
イトキン(伊東金属工業所)
出典:イトキン│グリドル
大阪で創業45年、たこ焼き・お好み焼き器具を主に製造するイトキンでは、プレスグリドルから卓上用スタンダード、高足組立式など11種類の多様なグリドルを提供しています。それぞれ3種類以上からサイズを選べます。
イトキンのグリドルシリーズには、すべて抗菌ステンレスを使用している点が特徴です。詳しくは公式サイトでカタログをダウンロードしてみてください。
三宝ステンレス工業
昭和41年の創業より多様な熱機器を製造する三宝ステンレス工業では、卓上型を含む2種類のガスグリドルを取り扱っています。
ムラなく美味しく焼ける「ファインバーナー」は、バーナーの火が出る穴の間隔が従来よりも狭く、均一な火力で焼き上げる点が特徴です。引出し式カス受けトレイ付きで掃除が簡単であり、ガス協会認定コックを使用し、安全性を確保しています。
厨房機器グリドル導入前の7つのチェックリストポイント
業務用グリドルを導入する際には、以下の7点を確認しておくと、トラブルのないスムーズな運用につながります。
- 都市ガス用orプロパンガス用のどちらにすべきか
- 設置スペース(寸法)は合うか
- 電源容量はどのくらいか(電気式の場合)
- 鉄板サイズ・厚みはどうか
- 清掃性(鉄板の取り外しや排油トレイの構造)の良さ
- サーモスタット(温度調整機能)の有無
- ガス接続工事の有無
業務用のグリドルを選定する際、まず確認すべきはガス種の適合です。ガスグリドルの場合、都市ガス用とプロパンガス用では仕様が異なるため、誤って購入すると接続できず使えません。
次に重要なのは設置スペースの寸法と本体の奥行・幅の確認です。卓上型や据置型によって必要なスペースが異なり、排熱や安全距離も考慮する必要があります。厨房設計と連動させて、設置寸法・排熱経路・配線条件などの必要事項を確認し、導入後の不具合やコスト増加を防ぎましょう。
業務用グリドルは新品と中古どちらがおすすめ?
業務用グリドルを導入する際、長期使用や最新機能・保証を重視するなら新品、初期コストを抑えたい・短期利用や予備機として使う場合は中古がおすすめです。
新品の業務用グリドルは、鉄板厚みやサーモスタットなど最新機能を搭載し、長期的に安定した調理品質を求める飲食店に適しているのがメリットです。また、新品であればメーカー直送による初期不良保証があるほか、部品供給やメンテナンス対応も受けやすく、厨房機器としての安心感が高まります。
一方で、中古の業務用グリドルは、厨房機器導入時の初期費用を抑えられる点が魅力です。厨房用品専門店では、ガス種や鉄板サイズごとに点検済みの中古品を取り扱っており、これらは短期間のイベント営業や開業直後のコスト削減目的に適しています。
ただし、中古品には鉄板の摩耗や加熱ムラ、ガス種の誤選択といったリスクがあるため、使用歴や修理履歴の確認が欠かせません。また、奥行や接続口の位置など、細かな設置条件も見落とさないようにしましょう。
費用がネックで中古を選ぶなら、補助金・助成金を活用しながら新品を購入する選択肢もあります。
厨房機器の導入時に役立つ具体的な助成金・補助金については、以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
参考記事:【2025年最新】厨房機器の導入で使える助成金・補助金5選|中小飲食店・個人事業主向け申請ガイド
厨房機器は最適なグリドル導入で調理効率と品質の両立を
業務用グリドルは、鉄板焼きやお好み焼きをはじめとする多様な料理に対応する、厨房に欠かせない加熱機器です。ガスグリドルは火力と調理スピードに優れ、電気グリドルは安全性と設置の柔軟性に魅力があります。
導入にあたっては、ガス種の確認、電源容量、設置スペース、鉄板の厚みなど多角的なチェックをしましょう。メーカーごとの特徴を比較し、自店舗の業態や厨房環境に最適な1台を選ぶことが、業務効率と調理品質の向上につながります。
飲食店の開業準備に役立つ記事は、以下よりご覧いただけます。開業前にぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考記事:飲食店開業までの流れと必要資格|開業準備はいつ始めるのがベスト?