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2024/12/24

POSレジの法定耐用年数は何年?減価償却の方法について解説

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POSレジの法定耐用年数は何年?減価償却の方法について解説

POSレジを購入・リース契約を行った場合、事業用の経費として計上する必要があります。その際に必要になってくるのが、法定耐用年数による減価償却処理です。

しかし、法定耐用年数や減価償却などの会計用語は、経理や会計に関連した業務に触れた経験がない方にとって、馴染みが薄いのではないでしょうか。

本記事では、POSレジを購入・リース契約した際に発生する会計処理の方法について、用語解説から具体的な計上方法まで詳しく解説します。

そもそもPOSレジとはどのような設備なのか詳しく知りたい場合は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

参考記事:POSレジ・POSシステムの違いとは?主な機能と導入方法まとめ

目次

POSレジを導入する際に関連する会計用語について

電卓で計算する人のイメージ

POSレジを導入する際に、関わってくることが多い会計用語は以下の3種類です。

  • 固定資産
  • 法定耐用年数
  • 減価償却

まずは、それぞれどのような意味の言葉なのか、どのような場面で出てくるのかについて、解説します。

固定資産とは

固定資産とは、流動的でなく、かつ消耗品でない資産のことです。具体的には、不動産や土地、設備などが挙げられます。

個人が保有しているケースだけでなく、企業が保有している事業資産も固定資産として認められる点が特徴です。

固定資産を取得した際には、取得した年度に法定耐用年数に応じて減価償却したり、経費として記録したりして、会計計上する必要があります。

法定耐用年数とは

法定耐用年数とは、固定資産の耐用年数について公平性を期すために、国が税法で定めている基準期間のことです。

資産によって細かく定められているため、固定資産を取得した際は、取得した品目に定められている法定耐用年数に応じて減価償却処理を行わなければなりません。

消耗品などを購入した費用は、購入した年度に一括で全額経費計上します。一方で、固定資産の場合は、取得費用を法定耐用年数にわたって分割計上する点が特徴です。

減価償却とは

減価償却とは、不動産や設備などの固定資産を購入した際に耐用年数に応じて配分し、会計計上することです。

このとき、減価償却できる固定資産のことを減価償却資産といい、基本的に取得金額が10万円を超えるものが対象とされています。

減価償却を行う方法は定額法と定率法の2種類あるため、どのような状況でどちらを適用すべきなのか、正しく理解しておきましょう。

定額法と定率法のどちらを選んでも、最終的に経費計上する金額は同じです。一方で、早期に節税効果を得たい場合は定額法、長期にわたってトータルの節税効果を上げたい場合は定率法を適用する傾向にあります。

POSレジの法定耐用年数は?

カレンダーを確認する人たちのイメージ

POSレジには、POSレジ本体とキャッシュドロアやレシートプリンター、バーコードスキャナーなどが一体になっている「ターミナル型POSレジ」があります。

また、タブレット端末に、クラウド型のPOSシステムをダウンロードして使用する「タブレットPOSレジ」も増加傾向です。そのほか、キャッシュレス決済端末やキャッシュドロアなどの周辺機器もあります。

これらのPOSレジに関連する設備の法定耐用年数は、具体的に何年なのか、設備の種類ごとに確認していきましょう。

一般的なターミナル型POSレジの法定耐用年数

一般的なターミナル型POSレジの法定耐用年数は、耐用年数表の「事務機器・通信機器」に該当するため5年に定められています。これは、正常に使用し続けられる基準の年数であり、かつ減価償却時の配分を行う年数です。

基本的には、5年を超えても動作に問題なければそのまま使用し続けられます。

しかし、減価償却は法律で定められている年数を超えられないため、5年経過後は会計上の資産価値がなくなり、減価償却費として計上できなくなる点に注意しましょう。

タブレットPOSレジの法定耐用年数

ターミナル型POSレジの法定耐用年数が5年であるのに対し、タブレットPOSレジの法定耐用年数は4年と定められています。

これは、ターミナル型POSレジが「事務機器・通信機器」に該当するのに対し、タブレットPOSレジは法定耐用年数表の「パーソナルコンピューター(サーバー用のものを除く)」に該当することが理由です。

タブレット端末自体の法定耐用年数が適用されるため、ターミナル型POSレジよりも法定耐用年数が短くなっています。

POSレジ周辺機器の法定耐用年数

POSレジ周辺機器の法定耐用年数は、ターミナル型POSレジと同じ5年が基本です。「事務機器・通信機器」に該当するため、これらの機器類も減価償却処理を行えば会計計上できます。

具体的には、以下のような周辺機器です。

  • レシートプリンター
  • キャッシュドロア
  • バーコードリーダー
  • ハンディターミナル
  • キャッシュレス決済端末

例えば、タブレットPOSレジを導入する際に、これらの周辺機器を合わせて活用する場合は、法定耐用年数に1年のずれが生じるため、減価償却処理の際に注意する必要があります。

POSレジの減価償却方法

ここからは、POSレジを会計計上する際の減価償却のやり方について解説します。ただし、POSレジを購入した場合とレンタル・リース契約した場合で計上方法に違いがあるので、よく確認しておきましょう。

自社でPOSレジを購入した場合の減価償却方法

自社でPOSレジを購入した場合、定額法もしくは定率法で減価償却を行います。購入金額100万円のPOSレジを法定耐用年数5年で減価償却した場合、定額法と定率法でどのような違いがあるのでしょうか。

定額法で減価償却する方法

定額法は、毎年同一金額を減価償却費として会計計上する方法です。

年度減価償却費期首残高
(その年の開始時点の残高)
期末残高
(その年の終了時点の残高)
1年目20万円100万円80万円
2年目20万円80万円60万円
3年目20万円60万円40万円
4年目20万円40万円20万円
5年目20万円20万円0円

100万円のPOSレジを購入した場合、このように毎年20万円ずつ計上します。

定率法で減価償却する方法

定率法は、毎年同じ割合で減価償却する方法です。

年度減価償却費期首残高
(その年の開始時点の残高)
期末残高
(その年の終了時点の残高)
1年目50万円100万円50万円
2年目25万円50万円25万円
3年目12.5万円25万円12.5万円
4年目6.25万円12.5万円6.25万円
5年目3.125万円6.25万円3.125万円

定率法で100万円のPOSレジを減価償却する場合、法定耐用年数が5年のため、期首残高に対して毎年50%の割合で算出した金額を計上します。

定率法の場合、毎年減価償却費の金額が減少していくため、購入した年度での計上金額が高くなる点が特徴です。また、定率法の場合は、残高が0になることがないので、保証額(購入金額に保証率を乗算して算出)を下回った時点で改定償却率を適用して算出します。

法定耐用年数5年の場合、保証率は0.06249、改定償却率は1.0になるため、以下のように算出する方法が一般的です。

購入金額100万円×保証率0.06249=62,490円

62,490円を下回るのは5年目なので、改定償却率1.0で計上することになり、5年目は残額62,500円すべてを一括計上することになります。

しかし、5年経過後も資産として保有していることを記録するため、1円を残した64,999円で計上する方法が一般的です。残存簿価1円として残しておくことで、事業に資する設備を減価償却後も保有していると示せます。

POSレジをレンタル・リースした際の減価償却方法

ここからは、POSレジをレンタル・リースした際の減価償却方法について、購入した場合とどのような違いがあるのかを解説します。

ファイナンスリース契約

ファイナンスリース契約は、リース契約期間満了後にリース機の保有権が移転されるため、POSレジを購入するのと同様の方法で減価償却できます。

契約期間満了後は、自己保有資産として活用できるようになりますが、リース契約の中でも中途解約ができない契約方法である点に注意が必要です。

オペレーティングリース契約

オペレーティングリース契約は、ファイナンスリース契約とは異なり、リース契約期間満了後もリース機の保有権が移転されない契約方法です。

POSレジをオペレーティングリース契約で利用する場合は、自己保有資産に該当しないため、固定資産として減価償却できません。

一方で、ファイナンスリース契約と比べて中途解約できない期間が短かったり、中途解約が可能であったりするようなケースもあります。

レンタル契約

POSレジをレンタル契約した場合は、オペレーティングリース契約と同様に自己保有資産とみなされないため、固定資産として減価償却できません。

固定資産として減価償却できるのは、自己保有資産として所有権を所持している場合に限られます。

POSレジは購入とレンタル・リースどちらがおすすめ?

チェックマークの木製ブロックに指を置いているイメージ

POSレジは、購入すれば固定資産として減価償却できるメリットがあります。一方で、レンタルやリースは減価償却できないものの、壊れた際に買いなおす必要がない点がメリットです。

では、POSレジを購入すべきかレンタルやリース契約をすべきかで迷ったときは、どのように判断すれば良いのでしょうか。比較ポイントや判断基準について解説します。

トータルコストを抑えたいなら購入がおすすめ

POSレジの導入や運用にかかるトータルコストを抑えたいのであれば、購入がおすすめです。

購入する際の費用負担は大きいものの、長期間利用していると月額費用がレンタルを下回ってくるでしょう。

レンタルやリース契約(オペレーティングリース契約)の場合、POSレジを利用し続けている期間は継続して料金の負担が発生します。

長期的に見れば購入した方がトータルコストが安く済むため、POSレジの長期利用を検討していてトータルコストを安く抑えたいのであれば、購入がおすすめです。

もしくは、契約期間満了後に所有権が移転されるファイナンスリース契約を締結するのも良いでしょう。また、購入時には補助金・助成金制度も活用できます。詳しくは、以下の記事を参照ください。

参考記事:【2024年最新】POSレジ導入に利用できる補助金・助成金5選|金額や申請要件について解説

初期費用を抑えたいならレンタル・リースがおすすめ

POSレジの導入にかかる初期費用を抑えたいのであれば、レンタルやリース契約(オペレーティングリース契約)がおすすめです。

POSレジを購入するには、100万円~150万円の費用がかかるケースも少なくありません。とくにターミナル型POSレジの場合は、購入費用が負担になる場合もあるでしょう。

レンタル・リース契約の場合は、初期費用の負担なしで導入できるサービスもあります。月額利用料として数万円~十数万円程度の負担で利用できるので、導入コストを抑えたい方に最適です。

また、契約期間が定められていない場合も多いため、イベント出店やポップアップストア、キッチンカーなどでの短期利用にも適しています。

まとめ

POSレジの法定耐用年数は、POSシステムをどのような端末で利用するかによって変動します。減価償却を行う際は、必ず対応している法定耐用年数に応じて会計計上しましょう。

POSレジの導入にかかる費用や価格の目安は、以下の記事でも詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にしてください。

参考記事:POSレジの価格相場はどれくらい?種類ごとの導入費用の目安と安く抑えるコツ