普段からコミュニケーションを取るのに必要不可欠なツールである「LINE」ですが、店舗・企業から顧客向けに発信が出来る場として「LINEミニアプリ」と「LINE公式アカウント」があります。これらの違いやそれぞれの持つ特徴、メリット・デメリットを詳しく解説していきます。
LINEミニアプリとは何か
LINEミニアプリとは、LIFF(LINE Front-end Framework)上で動作する小規模なアプリケーションです。
「LINEミニアプリ」が公式名で、サービスを見つけたユーザーがアプリをダウンロードする必要がない為、利便性の面からも高い評価を受けています。
LINEミニアプリでは、様々なビルトイン機能が用意されています。
- ユーザーに対してサービスへのアクセス権限の付与を依頼する事が出来る。
- LINEミニアプリを他のユーザーへシェア。
また基本性能からカスタマイズしていく事ができるので、競合店との差別化を図る事が出来ます。
予約システムやデジタル会員証の発行、サービスメッセージ・決済システム(LINE Pay)の利用など様々なサービスを提供することができます。
これによりユーザーは、LINEアプリ内でシームレスにサービスを利用することができます。
店舗運営や業務の効率化、顧客サービスの向上などに役立つツールとして、LINEミニアプリは非常に有効です。
LINEミニアプリ導入のメリットや費用、導入方法も後ほど詳しく解説していきます。
参照元:LINE Developers
LINE公式アカウントとは何か
企業がユーザーへ向けたサービスとしてLINEミニアプリの他に「LINE公式アカウント」という物もあります。
LINE公式アカウントでは、企業や店舗が顧客と直接コミュニケーションを取るために優れていて、国内最大規模のマーケティングツールとして約37万を越える企業や店舗が導入しています。
公式アカウントを通じて出来ることとして、メッセージ配信・クーポンの提供などがあります。
他にも様々な機能があり、LINEチャット・ショップカード発行・リッチメニュー・ステップ配信・オーディエンス配信・LINE VOOM・メンバーシップなど利用できるサービスは多岐に渡ります。
機能 | 説明 |
---|---|
メッセージ配信 | ユーザーに対してテキスト、画像、動画、リッチメッセージが送信可能 |
タイムライン投稿 | 公式アカウントのタイムラインに情報やニュースを投稿し、友だちにシェア可能 |
クーポン発行 | 割引クーポンやプロモーションコードを配信し、ユーザーの来店や購入促進が可能 |
アンケート | アンケートを作成し、ユーザーからのフィードバックが収集可能 |
チャットボット | 自動応答システムを導入し、ユーザーの質問に対して即座に対応可能 |
リッチメニュー | カスタマイズ可能なメニューを作成し、ユーザーが簡単に操作できるように調整可能 |
友だち追加促進 | QRコードやURLを使って公式アカウントの友だち追加の促進が可能 |
セグメント配信 | 特定の条件に基づいて、ターゲットを絞ったメッセージが配信可能 |
リッチビデオメッセージ | 動画コンテンツをリッチな形式で配信し、ユーザーの関心を引く |
イベント通知 | イベントやセール情報を通知し、ユーザーの関心を引く |
ショッピング機能 | LINEショッピング機能を利用して、直接商品の販売が可能 |
データ分析 | ユーザーの行動やメッセージの開封率などを分析し、マーケティング戦略の最適化が可能 |
一斉配信 | 大量のユーザーに対して一斉にメッセージを送信可能 |
LINE VOOM | ショート動画を投稿・シェアすることで、ユーザーの関心を引きエンゲージメントを高めることが可能 |
上記のようにあらゆるサービスが展開されていますので、多くの企業がマーケティングや顧客のサポートに活用しています。
LINE公式アカウントは、メッセージの発信や会員証の発行などを通じて、効果的な顧客接点を担う一つのツールとして、重要な役割を果たしています。
参照元:【公式】LINE公式アカウント
LINEミニアプリとLINE公式アカウントの違い
「LINEミニアプリ」と「LINE公式アカウント」の説明をしてきましたが、どのような違いがあるのでしょうか。
具体的なサービスの違いや使用の違いを解説していきます。
主な違いは提供する機能だけでなく「利用目的」にあります。LINEミニアプリではLINEアプリ開発に始まりLINE予約・デジタル会員証の発行など、企業側から顧客へ向けた配信・提供をメインとして、顧客エンゲージメントの向上・業務の効率化・施設運営などに優れています。
一方で公式LINEでは、チャット機能を利用した双方向でのメッセージのやり取りや、クーポン発行・会員証の発行などを通じて得た顧客の情報を、分析機能を利用して解析していく顧客管理が中心となります。
「LINEミニアプリ」「LINE公式アカウント」どちらも強みを発揮できる場所が異なりますので、これらの違いを理解することで適切なツールを選択することができ、店舗運営に必要なデータを収集し、顧客満足度の向上・顧客の囲い込みなど企業の発展の為に効果的に活用していく事ができます。
LINEミニアプリとLINE公式アカウントのメリット・デメリット
LINEミニアプリ・LINE公式アカウント、どちらも優れたツールである事に間違いはないのですが、各ツールにもそれぞれが持つメリット・デメリットがあります。
LINEミニアプリ
LINEミニアプリでは、外部からのアクセスもできますので、ユーザーがアプリをインストールしなくても良いという、利便性の良さが最大のメリットと言えます。
また個別開発を行い競合店との差別化が図りやすく、店舗のオリジナリティを発揮できるのも魅力です。
基本的に備わっている機能も充実しているだけでなく、予約・モバイルオーダー(店内・店外・テイクアウトに対応)、「順番待ち」ができるシステムやリマインド機能などを上手に活用する事で、販売促進や顧客獲得に優れたツールと言えます。
一方でデメリットとして、アプリ開発にかかる開発費用が挙げられます。あらかじめ決められたパッケージを利用するパッケージプランですと、無料で始められるプランもありますので開発費用は抑えられますが、基本的には「初期費用」+「月額利用料」がかかります。
また、個別開発を希望する場合は開発会社に問い合わせを行い、開発費用の見積りを貰う必要があります。その際には、自社がどの様なサービスを提供したいかなど開発方法によって費用も大きく変わりますので注意が必要です。
引用元:LINEミニアプリ認定パッケージ一覧
https://www.lycbiz.com/jp/service/line-mini-app/package/
引用元:LINEミニアプリ認定個別開発企業一覧
https://www.lycbiz.com/jp/service/line-mini-app/partner/
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントは開発などの必要がなく、アプリをインストールするだけですので導入が比較的簡単に行えます。
メッセージ配信など顧客との接点を増やす機能は備わっていますので、店の「公式アカウント」を持ちたいという方にお勧めのツールと言えます。
デメリットとしては、提供できる機能が限定されてる他、無料でのサービスには上限があり、月のメッセージ配信数が200通を越える場合は、有料プランへの切り替えが必要です。
また多くの企業やお店が採用している事から、差別化を図る事が難しくクーポンなどを過剰に発行する等サービス過多に陥ると、企業体力のない個人店などでは経営そのものへの影響も考えなくてはなりません。
これらのメリット・デメリットを比較検討する事で、ビジネスに最適なツールを選ぶ手助けとなり、自社の発展に大きく寄与してくれます。
具体的な連携方法
LINEミニアプリとLINE公式アカウントには理想的な使い方があります。それは2つのツールを連携させる方法です。
LINEミニアプリとLINE公式アカウントを併用することで、それぞれが持つメリットを活かして、デメリットを補い合う事になり、さらなる効果が期待できます。
出典:【公式】LINEミニアプリ完全ガイド|LINE ヤフー for Business
例えば、飲食店を例に挙げると「LINEミニアプリ」で予約を受け付け、モバイルオーダーで注文を取り、LINE Payで決済を済ませる。
LINEユーザーの顧客には公式LINEアカウントを「友だち」として登録してもらい、公式アカウントで、クーポンやキャンペーンに関する情報を配信します。
そうする事で、ユーザーデータを蓄積しながら顧客との接点を増やし、リピート率を向上させることが出来ますので、具体的な導入方法にも触れておきたいと思います。
- LINE公式アカウントのリッチメニューにLINEミニアプリのショートカットを追加
- LINE公式アカウントのリッチメッセージでLINEミニアプリを起動できるリンクを送信
- LINEミニアプリを初めて開いた時にLINE公式アカウントを友達追加する
LINE公式アカウントのリッチメニューとは、ユーザーがLINE公式アカウントのトーク画面を開くと目にする位置にリンクを表示させる事ができる機能です。こちらにリンクを貼っているとユーザーはワンタップでLINEミニアプリを起動出来ます。
リッチメッセージとはメッセージ形式で、画像やテキストを組み合わせたメッセージを配信することが可能です。
またLINEミニアプリから連携する方法として、LINEミニアプリを初めてひらいた時にチャネル同意画面にLINE公式アカウントを友だち追加するオプションを表示出来ます。(※チャネルとは、集客する為の媒体・経路のこと)
参照元:LINE Developers
具体的な成功事例
成功事例を基に上手なLINE活用を始めましょう。
ワイエスフード株式会社様
福岡県香春町に本社を置くワイエスフード株式会社では、2022年3月にLINE公式アカウントを開設し、LINEミニアプリのモバイルオーダーシステムを導入し、運用開始から約3か月で友達追加が2,100人(2022年6月末時点)を突破しました。
また同社が経営する、「九州筑豊ラーメン山小屋 フジグラン野市店」(高知県野市町)のリニューアルでも、モバイルオーダーシステムを導入した結果、オーダーミスや会計ミスが減少するなどの効果が出ています。
<分析>モバイルオーダー経由の友達追加だと、一度ご注文を頂いている顧客ですのでブロック率が低くなります。また飲食店ですと気を付けていてもオーダーミスや会計ミスは起こってしまう所を、モバイルオーダーシステムを導入する事で減少させる事に成功。
これらの要因は結果的に利益の底上げに繋がります。
大江ノ郷自然牧場(有限会社ひよこカンパニー様)
養鶏牧場やレストランを運営する大江ノ郷自然牧場は、2018年8月にLINE公式アカウントを開設し、デジタルマーケティングの主力ツールとして活用してきました。
2021年3月には順番待ちサービスのLINEミニアプリを導入し、ユーザーの利便性の向上に役立てています。
LINE公式アカウントとLINEミニアプリを併用する事で、順番待ちの発券時にメニュー予約ができる機能も追加し、店舗オペレーションがスムーズになりました。
LINE公式アカウントで期間限定ドリンク無料クーポンを配信した際は、約80%の開封率を記録し、約2週間で1,000件以上の来場利用と約80件のEC購買に繋がりました。
<分析>これまで順番待ちの際は整理券を発券し、メールで通知を行っていたそうですが、メールアドレス登録の手間などで多くの顧客が離脱していました。
LINEミニアプリ導入後は、元々ユーザーが使用しているLINEに通知がいくようになり、店舗側も顧客側も気軽に使えて、案内がスムーズにいくようになりました。
顧客のストレスを取り除く事で、店舗に良い印象が残り、LINE公式アカウントのブロック率が低いというのも成功事例と言えます。
LINE公式アカウントとLINEミニアプリの併用で最も成功している活用事例の一つと言えます。
※成功事例は「LINEヤフー for Business」より、引用・抜粋
「LINEヤフー for Business」成功事例
効果的な連携方法を理解し、自社のビジネスに取り入れることが、大きな成果を収めるポイントと言えます。
DX化の推進で好循環を生み出す
今回、解説してきた「LINEミニアプリ」や「LINE公式アカウント」のみならず、自社のDX化を推進する事は経営だけではなく、そこで働く方にもオペレーションの簡素化など様々な恩恵があります。
また多種多様なサービスを受けられるという点で、顧客にも大きなメリットが生まれます。
アカウントをお持ちでない企業では、導入事例を参考に活用を検討してみて下さい。