「LED工事は本当に必要なのか?」と疑問を抱く方も多いかもしれません。確かにLED照明の導入は省エネや長寿命といったメリットがある一方で、すべてのケースで工事が必要なわけではありません。しかし、既存の蛍光灯器具の構造や建物の設備環境によっては、安全かつ適切に使用するために専門的な工事が求められます。本記事では、LED工事が必要なケースや工事の種類、得られるメリット、業者選びの際の注意点について、わかりやすく解説します。
LED工事が必要となるケースとは
本項ではまず、LED工事が必要になるケースを状況別に解説していきます。
蛍光灯器具に安定器がある場合
従来の蛍光灯には「安定器」と呼ばれる部品があり、電流を制御する役割を果たしています。しかし、この安定器はLEDには不要であり、残したまま使用するとチラつきや発熱、最悪の場合は故障や火災のリスクを招くこともあります。
そのため、LED照明を導入する際には、安定器をバイパスする工事が必要になるケースがあります。見た目は同じ直管型でも、内部の配線や電気的な構造が異なるため、安易な取り付けは避け、状況に応じた対応が求められます。
建物によって工事の必要性が変わる
LED化にあたって工事の必要性は、建物の用途や照明設備の仕様によって異なります。たとえば、家庭用の口金型LED電球であれば差し替えるだけで済みますが、オフィスや工場、マンションの共用部などでは、器具内部の構造や配線が異なるため、専門的な電気工事が必要になる場合が多いです。
また、高天井照明や非常灯など特殊な設備がある場合は、法令に基づいた対応も不可欠です。用途に応じて正しい判断を行うことが重要です。
LED工事の種類とは
本項では続いて、LED工事における工事の種類について解説していきます。
バイパス工事
バイパス工事とは、既存の蛍光灯器具から安定器を取り除き、LEDに適した配線へと変更する作業を指します。安定器が残ったままだと電気効率が悪くなり、故障の原因にもなり得るため、安全かつ効率的に使用するためにはバイパスが推奨されます。
この工事は電気工事士による施工が義務付けられており、無資格での作業は電気用品安全法違反となるため注意が必要です。工事の難易度は器具の構造により変わるため、事前の現場調査が不可欠といえるでしょう。
器具交換
既存の照明器具自体が老朽化していたり、LEDに対応していない場合は、器具ごと新しいLED照明に交換する方法が最も確実です。とくに、長年使用されてきた蛍光灯器具は、配線の劣化や部品の不具合を抱えていることもあり、安全性の面でも不安が残ります。
器具交換は初期コストが高くなりがちですが、将来的なメンテナンスや電気代の削減効果を考慮すれば、十分に投資効果が見込める選択肢といえるでしょう。
管交換
もっとも手軽に行えるLED化の方法が、蛍光灯の管のみをLED管に交換する方法です。ただし、この方法は既存の器具がLED管に対応しているかどうかを確認する必要があります。
最近では、安定器の種類や配線方式に合わせて使える「工事不要タイプ」のLED管も多く販売されていますが、すべての環境で安全に使えるわけではありません。適合しないまま使用すると、発煙や発火のリスクもあるため、事前のチェックが不可欠です。
LED工事のメリットとは?
本項では、LED工事を行うことで期待されるメリットを解説していきます。
節電につながる
LED照明の最大のメリットは、従来の蛍光灯と比べて大幅な省エネ効果がある点です。一般的に約50%以上の電力削減が可能であり、電気代の削減につながります。たとえば、施設内の照明を一斉にLED化することで、年間の電気料金が数十万円単位で変わることも珍しくありません。
さらに、CO₂排出量の削減にも寄与するため、環境配慮の面でも大きな効果を発揮します。企業のSDGs対応としても注目されています。
メンテナンス費用削減につながる
LED照明は蛍光灯に比べて寿命が圧倒的に長く、一般的には40,000時間以上使用可能です。これにより、頻繁なランプ交換が不要になり、交換作業にかかる人件費や高所作業の安全対策などのコストも削減されます。
特に、施設の照明台数が多い場合や手が届きにくい場所に設置されている場合は、メンテナンス負担の軽減効果が顕著です。維持管理にかかる時間と費用の両面で、LEDは優れた選択肢といえます。
安全性の向上につながる
LED照明は蛍光灯に比べて発熱が少なく、火災や感電のリスクが低いという特徴があります。また、ガラス管ではなく樹脂製のカバーが使われている製品も多いため、落下時の破損リスクも抑えられます。さらに、水銀を含まず有害物質の発散もないため、環境にも優しく、廃棄時の手間も軽減されます。
こうした点から、LEDは高い安全性を確保できる照明として、家庭だけでなく業務用施設でも導入が進んでいます。
LED工事を依頼する際の注意点
本項では、LED工事を依頼する際の注意点についてポイント別に解説していきます。
安全施工を重視しているか
LED工事は電気配線に関わる作業を伴うため、必ず「電気工事士」の資格を持つ業者に依頼する必要があります。安易にDIYで行うと、感電や火災など重大な事故につながる恐れがあるほか、電気用品安全法に違反する可能性もあります。
信頼できる業者であれば、現場の状況を確認したうえで最適な工事方法を提案してくれるため、安全性と効果の両立が期待できます。資格と施工実績をしっかり確認しましょう。
工事事例・実績を確認する
施工業者を選ぶ際は、過去の工事実績や導入事例を確認することが重要です。どのような建物・業種でどれだけのLED工事を行ってきたのかを知ることで、その業者の対応力や技術レベルを判断できます。
特に、オフィス・工場・マンション共用部など、多様な現場での実績があれば、安心して任せやすくなります。事例が写真付きで紹介されていれば、仕上がりのイメージも掴みやすく、信頼度が高まります。
アフターフォローと保証体制を確認する
LED照明の導入後、万が一の不具合や故障に対応できる体制が整っているかは、業者選びの大切なポイントです。施工後すぐにトラブルが発生した場合、迅速に対応してもらえるかどうかは信頼性に直結します。
加えて、LED本体や工事部分に対して保証期間が明示されているかも確認すべきです。アフターフォローの有無により、長期的な安心感が大きく変わるため、契約前にしっかりと確認しておきましょう。
まとめ
LED化によって得られる恩恵は多く、省エネ・メンテナンス性・安全性のすべてを向上させることができます。ただし、すべての器具で工事が必要というわけではなく、設置状況に応じた適切な工事判断が欠かせません。また、施工を依頼する際には、安全性や保証体制、過去の実績を確認することが、長期的に満足できる導入につながります。今回ご紹介した内容を参考に、自社や施設にとって最適なLED工事を進めてみてください。