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2025/05/09

飲食店開業に必要な資格一覧|調理師免許の有無や届出の申請についても解説

  • 飲食店開業支援
飲食店開業に必要な資格

飲食店を開業する際は、店舗の準備や物品の購入、各種申請作業など、さまざまな対応をするため時間に追われやすくなります。

そのような中で、早めに準備しておかなければならないのが、飲食店の開業に必要な「資格の取得」です。しかし、具体的にどのような資格が必要で、取得にどれくらいの時間がかかるのかわからない方も多いでしょう。

そこで今回は、飲食店開業時に必須の資格やそれらの資格を取得するまでの流れ、必要な期間の目安などを解説します。

また、飲食店開業時に調理師免許は必要なのか、必須ではないが取得しておくと便利な資格も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

目次

飲食店開業時に調理師免許は必須?

飲食店開業時に必要な資格として、調理師免許を思い浮かべる方は多いでしょう。実際に飲食店を経営する人の中で、調理師免許所有者は多くいます。しかし、調理師免許は飲食店の開業に必須の資格ではありません。

調理師免許とは、食に関する知識や調理技術を有することの証明となる、調理師法に基づいた国家資格です。厚生労働省指定の調理師養成学校卒業者や、調理師試験の合格者に対して与えられます。

調理のプロフェッショナル資格ではあるものの、飲食店経営者が開業時に取得していなくても問題ありません。また、調理師免許を取得していなくても、厨房で調理に携わり、料理を提供することは可能です。

一方で、調理師免許は必須でないものの、スキルや知識をもつ証明として活用できることから、取得しておくと顧客からの信頼感獲得につながるメリットがあります。

飲食店開業時に必須の資格

勉強をしている人のイメージ

飲食店開業時に必須の資格は、以下の2つです。

  • 食品衛生責任者
  • 防火管理者

この2つの資格を取得していないと、飲食店を開業できません。それぞれどのような資格なのか、なぜ取得しておかなければならないのかを解説します。

食品衛生責任者

食品衛生責任者の資格は、食品を取り扱う際の衛生面に関する知識を証明するものです。

店舗で調理して料理を提供する飲食店だけでなく、スーパーやコンビニエンスストアなどの食品製造や、販売を行う店舗の開業時にも必要になります。

開業時には、出店地域を管轄している保健所に食品衛生責任者がいることの届出を提出しなければなりません。

飲食店開業の準備をスムーズに進めるためにも、食品衛生に関する基礎知識を身に付け、早めに受験して資格を取得しておくことが大切です。

防火管理者

飲食店開業時に必須の資格として、防火管理者の資格も挙げられます。防火管理者とは、火災に対する予防・対処知識を有していると示す、消防法に則った国家資格です。

防火管理者は、施設全体の防火設備設置・点検や消防計画の作成などを行う役割があります。飲食店以外にも、ホテルや旅館、劇場・他業種の店舗・病院など、収容人数が30人を超える建物では必ず選任しなければなりません。

300㎡未満の小規模飲食店を開業するのであれば、「乙種防火管理者」の資格を取得しておきましょう。ただし、300㎡以上の場合は、「甲種防火管理者」の資格を取得する必要があります。

飲食店開業に必要な資格取得までの流れ

飲食店の開業に必要な資格を取得するまでの流れは、以下の通りです。

  1. 必要な資格の受講・試験受験の申し込みを行う
  2. 受講料・受験料を支払う
  3. 指定された講座をすべて受講する
  4. 試験(効果測定)を受ける
  5. 修了証の交付を受ける

資格によっては、講座の開講日程が少ない場合もあるため、早めにスケジュールを確認しておきましょう。飲食店の開業に必須の食品衛生責任者や防火管理者の資格は、オンラインでの受講にも対応しています。

eラーニングシステムを活用したもので、指定された期間内に任意の時間数講座を受講すれば良いため、講座会場へ足を延ばすことが難しい方におすすめです。

一方で、任意資格の中には試験日程が年に1回のみのものもあるため、取得までのスケジュールは早めに設定しておく必要があります。

参考記事:飲食店開業時のチェックリスト!準備の見落としを防ぐポイントを解説

飲食店開業に必要な資格の取得にかかる期間の目安

デスクでカレンダーに印をつけるイメージ

飲食店開業に必要な資格の取得にかかる期間は、資格の種類によって異なります。必須資格である食品衛生責任者と防火管理者の資格の場合、以下が取得にかかる期間の目安です。

  • 食品衛生責任者:講義受講6時間/1日 ※eラーニングの場合も講義動画のトータル時間は同じ
  • 防火管理者(甲類):講義受講約10時間/2日 ※eラーニングの場合も講義動画のトータル時間は同じ
  • 防火管理者(乙類):講義受講約5時間/1日 ※eラーニングの場合も講義動画のトータル時間は同じ

また、講義はeラーニングであれば基本的にいつでも受講可能ですが、対面講義の場合は異なります。対面講義の開講日数は、月に2回~4回程度です。地域によって差があるので、申し込むタイミングに注意してください。

基本的に対面であれば1日(甲類防火管理者の場合は2日)で、資格の取得が可能です。オンラインの場合は複数日に分割して受講できますが、講習の受講が可能な日数は1週間程度に設定されているので、スケジュール管理をしっかり行いましょう。

飲食店開業時におすすめの資格一覧

飲食店開業時に必須ではないものの、取得しておくと便利なおすすめの資格を紹介します。

  • 調理師
  • 栄養士
  • フードコーディネーター
  • パン製造技能士
  • 菓子製造技能士
  • ソムリエ
  • 野菜ソムリエ
  • 唎酒師(利酒師)
  • レストランサービス技能士
  • 接客サービスマナー検定

これらは、業種によっては取得しておくと利便性が高く、顧客からの信頼獲得につながる資格です。

「もっと顧客ニーズに合うサービスを提供したい」「知識を身に付けたい」など、自身のスキルアップを目的に取得してみるのも良いでしょう。

飲食店開業に必要な届出・申請について

ここからは、飲食店開業に必要な届出や申請を紹介します。飲食店開業の前後には、これらの申請や届出の提出が必要です。ただし、提出期限は申請や届出の種類によって異なるので注意してください。

届出の種類 提出場所 提出期限
開業届(個人事業主の開業廃業など届出書) 出店場所管轄の税務署 開業から1カ月以内
飲食店営業許可申請 出店場所管轄の保健所 店舗完成の10日前まで
防火対象物使用開始届 出店場所管轄の消防署 建物の使用を開始する7日前まで
火を使用する設備等の設置届 出店場所管轄の消防署 建物の使用を開始する7日前まで
所得税の青色申告承認申請書 出店場所管轄の税務署 開業から2カ月以内
給与支払事務所の開設届 出店場所管轄の税務署 給与支払事務所を開設してから1カ月以内
社会保険加入手続き 日本年金機構 開業後すぐ
雇用保険の加入手続き 公共職業安定所 従業員の雇用開始から10日以内
労災保険の加入手続き 労働基準監督署 雇用開始翌日から10日以内
食品衛生管理者の届出※要資格 出店場所管轄の保健所 管理者設置から15日以内
防火・防災管理者選任届※要資格 出店場所管轄の消防署 開業まで
深夜酒類提供飲食店営業開始届出 出店場所管轄の警察署 開業の10日前まで※深夜0時以降も営業する場合

飲食店開業に必要な資金の目安

飲食店開業に必要な資金は、約1,000万円です。店舗の規模や出店場所、地域、業種によって左右されるため、あくまで目安として捉えておきましょう。

また、スケルトン物件と居抜き物件でも、内装工事費にかかる費用に大きな差がでます。開業資金や初期費用を抑えたいのであれば居抜き物件を探してみたり、厨房機器を中古やレンタル・リースで揃えたりするのも選択肢の1つです。

飲食店の開業に必要な資金については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。

参考記事:飲食店開業の資金はいくら必要?資金調達方法と自己資金の目安や補助金・助成金制度まとめ

まとめ

飲食店開業のために必須の資格は、1日~2日程度で取得できます。しかし、開業にともなう申請や届出の負担も大きいことから、開業直前に取得しようとするのは避けた方が良いでしょう。

開業前は準備に追われて必要な手続きが山積みになるため、全体の流れを意識することが重要です。開業前のいつ頃にどのような準備を行えば良いか、という点については以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:飲食店開業までの流れと必要資格|開業準備はいつ始めるのがベスト?

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