厨房機器の選定は、単なる設備導入にとどまらず、作業効率や営業許可、ランニングコストにまで大きく影響する重要な判断項目です。特に、厨房スペースや動線、設置基準、衛生管理への配慮が不十分だと、思わぬトラブルにもつながりかねません。
では、飲食店にとって最適な厨房設備を選ぶには、何を基準に検討すべきなのでしょうか。
本記事では、飲食店の開業支援に強みを持つBizcanの知見をもとに、厨房機器の選び方と導入パターンをわかりやすく解説します。
飲食店に必要な業務用厨房機器10選と選び方とは?
一般的な飲食店で必要な厨房機器一覧(基本設備)は以下のとおりです。
- 業務用冷蔵庫・冷凍庫
- ガステーブル/IHコンロ
- フライヤー
- グリドル/グリラー
- シンク(二槽以上)
- 作業台
- 食器洗浄機
- 製氷機
- コールドテーブル
- 排気フード/ダクト
厨房機器の選定においては、機器の種類や性能だけでなく、法的な基準も重要な検討事項です。以下に、営業許可に関わる主な基準を紹介します。
- シンクは必ず二槽以上+手洗い専用を設置
食品衛生法と各自治体の保健所基準にも準拠が必要です。シンクの基準について、「食品衛生法」には以下の記載があります。
“3 二次汚染の防止
(8)シンクは原則として用途別に相互汚染しないように設置すること。特に、加熱調理用食材、非加熱調理用食材、器具の洗浄等に用いるシンクを必ず別に設置すること。“
シンクの設置は衛生管理の基本です。開業前に必ず確認しておきましょう。
出典:食品衛生法第1条の3第2項の規定に基づく食品等事業者の記録の作成及び保存について
- 冷蔵庫・冷凍庫は原材料と完成品を分けて保管できる構造が必要
食中毒防止のため、交差汚染の可能性がある設備配置はできません。例えば、棚を区分けする、専用の容器を使用するなどの工夫が必要です。
参考サイト: HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き丨厚生労働省
- 手洗い器には消毒液・ペーパータオル等の設置が必要
手洗い器には、自動水栓やフットペダル式が推奨されます。
衛生管理に関する設備の設置基準を確認した後は、ガス・水道・電気といった工事関連の注意点についても把握しておきましょう。以下に、主な工事関連のポイントを紹介します。
- ガス機器設置時は「都市ガス/LPガス」の種類を必ず確認し、誤接続による重大事故を防止
- 給排水設備の工事が必要な機器(シンク、食洗機、製氷機など)は事前調査を実施
- 電気機器導入時は契約電力容量を確認し、専用回路を用意
- ダクト工事と換気設計時は消防法の防火基準も確認
上記の工事関連のポイントを踏まえると、厨房機器の導入は「購入して設置すればOK」ではなく、法令遵守と設備工事の調整が欠かせません。初期段階から保健所・設置業者・設計担当者の三者連携を行い、スムーズな開業を目指しましょう。
参考記事:【最新版】厨房機器一覧まとめ|飲食店・施設に必要な業務用厨房機器とメーカー比較ガイド
【厨房機器別】飲食店に欠かせない厨房機器の選び方
厨房機器の導入は、飲食店の運営効率や食品の品質に直結する重要な設備投資です。なかでも冷蔵庫やフライヤー、製氷機などの主要な厨房機器は、それぞれに適した選び方をしなければ「使いづらい」「すぐ壊れた」「業務が回らない」といったトラブルにつながりかねません。厨房機器の種類ごとに性能や容量、設置スペース、衛生面への対応など、チェックすべきポイントは異なります。
ここでは、飲食店における主要な厨房機器8種類を取り上げ、それぞれのを選ぶ方法を詳しく解説します。
- 業務用冷蔵庫・冷凍庫の選び方
- 製氷機の選び方
- コールドテーブルの選び方
- ガステーブル/IHコンロの選び方
- フライヤーの選び方
- シンク(二槽以上)の選び方
- 作業台の選び方
- 食器洗浄機の選び方
厨房機器別の最適な選び方を知り、無駄な出費を抑え、厨房の業務効率を高めましょう。
業務用冷蔵庫・冷凍庫の選び方
業務用冷蔵庫・冷凍庫は「容量・温度帯・設置スペース・消費電力」の4点を軸に選ぶことが重要です。
飲食店では、食材を大量かつ安全に保管するため、一般家庭用ではなく、業務用冷蔵庫・冷凍庫の導入が欠かせません。特に、温度管理の精度と耐久性、連続稼働に強いモーター性能が問われます。
また、冷凍冷蔵の切替可能なタイプやコールドテーブル一体型など、厨房動線やメニュー構成に応じた機能を選ぶことで、作業効率が向上します。サイズを選ぶ際は、設置スペースだけでなく、搬入口やドアの開閉方向も忘れず確認しましょう。さらに、長期的に見たランニングコストやエネルギー効率の高さも、重要な選定ポイントです。
厨房の省スペース化と食品の衛生管理を両立させるには、店舗の規模と運営スタイルに合った冷蔵・冷凍機器の選定が重要になります。
製氷機の選び方
飲料・盛り付け用途に応じた氷の種類と製氷能力を基準に製氷機を選びましょう。製氷機は角氷・チップアイス・フレークアイスなど用途別に選ぶ必要があります。バーやカフェでは氷の見た目も重要なため、氷の透明度や形状にも配慮が必要です。
また、1日の使用量に対して十分な製氷能力があるかどうか、氷の保管能力、排水設計の有無も確認しましょう。設置場所が限られる場合には、アンダーカウンタータイプや省スペースモデルが適しています。メニュー構成と提供スタイルに合った製氷機選びは、ドリンクの提供品質や業務効率に関係するため、店舗に適した製品を選びましょう。
コールドテーブルの選び方
作業台と冷蔵庫を兼ねたコールドテーブルは、調理動線を考慮して選ぶのがポイントです。
コールドテーブルは調理作業中に冷蔵食材へすぐアクセスできるため、効率化に貢献します。天板の材質は耐久性・清掃性の高いステンレス製が主流で、引き出しや棚付きタイプもあります。
冷却方式は直冷式・ファン式の2種類があり、食材に応じて選定します。庫内の温度帯や設置スペース、電源容量も事前に確認が必要です。作業性と保存性の両立を図るには、店舗のオペレーションに合致したコールドテーブルの導入が最適です。
ガステーブル/IHコンロの選び方
火力・安全性・設備環境に合わせて、ガステーブルとIHコンロを適切に使い分けましょう。ガステーブルは強火力が求められる炒め物や焼き物に最適で、業務用は複数口の同時使用が可能です。
一方、IHコンロは安全性や省エネ性に優れ、火災リスクを減らせる利点があります。
ガス配管工事や電気容量、換気設備の条件により設置可否が決まるため、事前の厨房設計が不可欠です。IH対応の鍋を用意するなど、導入前準備も確認が必要です。
調理スタイルと厨房環境に応じた熱機器の選定が、安全かつ効率的な営業体制を実現します。
フライヤーの選び方
調理量・使用頻度・清掃性を考慮し、店舗に適したフライヤーを導入しましょう。
フライヤーは揚げ物の品質に直結する厨房機器で、油温の安定性や油切れ設計がポイントです。連続使用が多い場合は自動温度制御や油ろ過機能付きモデルが便利です。
カウンター下に設置できるビルトインタイプや、排水装置付きで清掃が簡単なモデルもあります。電気式とガス式の違いも考慮し、厨房設備と調理スタイルに合わせてフライヤーを選びましょう。
シンク(二槽以上)の選び方
食品衛生法や営業許可基準に対応するため、必ず二槽以上のシンクを選びましょう。
一槽目で洗浄、二槽目ですすぎを行うことで、洗浄効率と衛生レベルを保てます。シンクは厨房機器の中でも衛生管理の要となるため、素材や構造も重視が必要です。
フットペダル式や自動水栓を採用することで、交差汚染のリスクを下げられます。保健所の指導にも対応しやすくなる点で、仕様確認は必須です。
保健所の許可取得や衛生基準クリアを目指すには、設置基準を満たしたシンクの選定が欠かせません。
作業台の選び方
作業効率と清掃性を高めるには、素材・収納・サイズに注目して作業台を選びましょう。
作業台は調理や盛り付けに使われるため、ステンレス製の耐久性や清掃性が重視されます。天板下に棚や引き出しを設ければ、作業効率と収納性の両立が可能です。
使用頻度の高い位置にはキャスター付きなど移動可能なタイプも便利で、厨房のレイアウト変更にも対応できます。
スタッフの作業負荷を軽減し、動線を最適化するためには、店舗に合った作業台の設計と配置が重要です。
食器洗浄機の選び方
従業員の労力軽減と衛生管理の両面で、業務用食器洗浄機の導入は強い味方になります。食器洗浄機は高温水による除菌効果が高く、手洗いよりも衛生的かつ効率的です。
機種選びでは処理能力(ラック数)、設置スペース、消費水量、排気方式などを確認しましょう。小型飲食店向けのアンダーカウンタータイプから、大型店舗向けのフードタイプまで選択肢は豊富です。
店舗規模と使用頻度を見極めて食器洗浄機を選定すれば、厨房全体の業務効率が大きく向上します。
【業態別】厨房機器の選び方と比較ポイント
お店のタイプごとに、必要な厨房機器や選び方は異なります。
- カフェに必要な厨房機器
- 居酒屋に必要な厨房機器
- ラーメン店に必要な厨房機器
以下では、各業態に適した厨房機器の選定・比較ポイントを具体的に解説します。
カフェに必要な厨房機器
カフェでは省スペースで調理効率の高い以下の厨房機器が必要です。
- ドリップコーヒーマシン
- エスプレッソマシン
- 業務用冷蔵庫
- 小型の製氷機
- スチームコンベクションオーブン
上記のような代表的な厨房機器に加えて、軽食メニューを扱う場合はIHコンロや小型フライヤーも必要です。
限られた厨房スペースを有効活用できる厨房機器の選定が、カフェ運営の効率と品質に直結します。
参考記事:カフェ開業に必要な厨房機器リスト|選び方・保健所対応まで解説
参考記事:業務用冷蔵庫のおすすめ3選|種類・新品・中古・選び方も解説
居酒屋に必要な厨房機器
居酒屋では多品目の調理に対応できる厨房機器が必要です。
- ガステーブ
- フライヤー
- グリラー
- 冷蔵冷凍庫
- コールドテーブル
- 製氷機
上記の必須機器に加えて、串焼き用グリラーや揚げ物専用フライヤーなど、メニューに応じた厨房機器の導入により作業効率が向上します。料理の提供スピードを重視するため、耐久性と加熱スピードも選定基準として重要です。
参考記事:居酒屋開業に必要な厨房機器リスト|費用・選び方・設置のポイントまで解説
参考記事:業務用厨房機器フライヤーおすすめ5選|電気・ガス・卓上タイプまで違いと選び方を解説
ラーメン店に必要な厨房機器
ラーメン店にはスープや麺に特化した加熱・保温機器が必要です。
- 茹で麺機
- スープストッカー
- 業務用冷蔵庫
- ガスレンジ
- 調理台
- 二槽シンク
上記の厨房機器だけでなく、食器洗浄機やコールドテーブルの併用によって作業効率も高まります。
ラーメンは調理工程が決まっているため、作業動線に沿ったレイアウトと設置が重要です。
参考記事:ラーメン屋を開業するには?必要な資金や準備の流れと成功につなげる3つのポイント
参考記事:ラーメン屋開業に必要な厨房機器と費用相場|初期コストを抑える方法も解説
飲食店開業時の厨房機器の選び方で押さえておきたい6つの基準
飲食店を開業する際は、以下の基準に沿って厨房機器を選びましょう。
- 1. 機能性・調理効率
- 2. 設置スペース・動線
- 3. 耐久性・メンテナンス性
- 4. 衛生管理・清掃性
- 5. 導入費用・ランニングコスト
- 6. サポート体制
それぞれのポイントについて、具体的に解説します。
1. 機能性・調理効率
厨房機器の機能性は、作業効率と料理の品質に直結します。厨房機器は単なる調理器具ではなく、店舗の運営効率に関わる重要な設備です。
例えば、スチームコンベクションオーブンは、多様なメニューに対応可能で、加熱ムラも抑制できます。機能の充実度により、仕込みの手間や提供スピードも変わる点を知っておきましょう。
調理効率を考慮した機能性の高い厨房機器を選べば、スタッフの作業負荷も軽減されます。
2. 設置スペース・動線
厨房機器は厨房のレイアウトと動線に適したサイズ・配置が必要です。
動線設計に合わない大型機器を導入すると、スタッフの移動効率が悪化し、業務に支障をきたしかねません。事前に厨房設計図と照らし合わせ、搬入経路や設置場所の寸法を把握しましょう。
厨房機器の選定は、スペースの有効活用と作業導線の確保がポイントです。
3. 耐久性・メンテナンス性
長く使える厨房機器を選ぶには、耐久性とメンテナンスのしやすさのチェックが欠かせません。
業務用厨房機器や調理機器は毎日高頻度で使用されるため、耐用年数やメーカー保証の有無は必ず確認しましょう。フィルターやパーツの交換は簡単な構造か、掃除はしやすいかなども判断基準の1つです。
故障リスクを下げ、長期間使用できる機器を選べば、結果的にコスト削減につながります。
4. 衛生管理・清掃性
食品衛生法に対応した清掃しやすい厨房機器選びも重要です。
二槽シンクやフットペダル式の水栓など、衛生管理に役立つ機器は多数あります。保健所の営業許可基準にも適合するかを必ず確認し、食べ残しや廃棄物など食品残渣のたまりやすい構造を避ける設計の機器がおすすめです。
衛生的な厨房環境を維持するには、清掃性の高い厨房機器の導入が欠かせません。
5. 導入費用・ランニングコスト
厨房機器は、導入費用だけでなく、ランニングコストまで見据えて選びましょう。
安価な厨房機器でも電気代や修理費がかさむケースがあり、結果的に高コストになる場合があります。エネルギー効率の良い製品や、省電力型の厨房機器を選べば、長期的なコストを抑えられるのがメリットです。
初期費用と運用コストをバランスよく考慮して厨房機器を決定しましょう。
6. サポート体制
厨房機器選びでは、故障時やメンテナンス時の「サポート体制の充実度」が重要です。
業務用厨房機器は長時間稼働するため、突発的な故障や不具合は避けられません。その際、迅速に修理対応してくれるメーカーや販売業者であれば、営業への影響を最小限に抑えられます。
具体的には、全国に拠点があるか、24時間受付体制が整っているか、代替機の貸し出しが可能かなどを確認しましょう。
また、定期点検や設置後のアフターフォローがある厨房機器業者は、機器の耐久性や業務効率の維持にもつながります。
購入時の価格や機能だけでなく、トラブル発生時の対応スピードや支援の有無を見極めることで、長く安心して使える厨房環境を実現できます。
飲食店の業務用厨房機器丨新品・中古・リースの選び方
新品・中古・リースの業務用厨房機器について、それぞれのメリット・デメリット・どんな店舗に向いているかをまとめた表が以下のとおりです。
種類 | メリット | デメリット | 向いている店舗 |
---|---|---|---|
新品 | 高性能・長期保証付き・最新機能あり | 初期費用が高い | 長期的運営を見据えた新規開業店 |
中古 | 初期費用を抑えられる・即納可能な在庫もあり | 保証が短い・故障リスクが高い | 初期コスト重視の小規模店・イベント出店 |
リース | 初期費用が不要・メンテナンス付きプランあり | 月額費用が発生・途中解約制限あり | 資金に余裕がなく短期回収したい業態 |
新品のメリット・デメリット
新品の厨房機器は「安心感と最新性能」を得られる一方で、初期費用が高額になる点がデメリットです。
業務用冷蔵庫やフライヤーなどを新品で導入すると、メーカー保証やアフターサポートが充実しており、長期的に安定した稼働が期待できます。また、最新機種は省エネ性能や衛生管理機能が向上しており、ランニングコスト削減や作業効率アップにも直結するのが特徴です。
ただし、初期投資額は中古やリースと比較して高く、開業時の資金計画を圧迫するリスクがあります。そのため、長期運営を見据える店舗には向いていますが、短期出店や小規模業態には必ずしも最適とは限りません。将来の店舗運営ビジョンに合わせた判断が重要です。
「新品は価格が高い」と思われがちです。しかし、補助金・助成金を利用すれば、費用を抑えて新品の厨房機器を導入できるかもしれません。
参考記事:【2025年最新】厨房機器の導入で使える助成金・補助金5選|中小飲食店・個人事業主向け申請ガイド
中古のメリット・デメリット
中古の厨房機器は「初期費用を大幅に抑えられる」一方で、故障リスクや保証期間の短さがデメリットです。
中古機器の魅力は、業務用冷蔵庫やガステーブルなどを定価の半額以下で入手できる点です。これは、開業時の初期費用を軽減したい飲食店にとって大きな利点となります。
しかし、使用歴や耐用年数が不明な場合も多く、短期間で修理費がかかる可能性があります。また、保証が短期間に限定されるケースが一般的で、長期的な安定運営には不安が残ります。
そのため、信頼できる厨房機器業者から購入することが重要です。
資金を節約できる一方でリスクも伴うため、中古の導入は「短期出店」や「初期コスト重視の小規模店」に適しています。
リースのメリット・デメリット
リースは「初期費用ゼロで最新機器を導入できる」メリットがある反面、月額費用や契約制限がデメリットになります。
リース契約を利用すれば、業務用冷蔵庫やフライヤーといった高額機器も、頭金なしで導入できます。さらに、メンテナンス込みのプランを選べば修理対応も安心です。
一方で、長期的には購入より総額が高くなる傾向があり、途中解約や機種変更が難しい契約もあります。リースは資金を別の運転資金に充てたい場合や、短期間で投資回収を目指す店舗に向いています。
リースは柔軟な資金運用を可能にしますが、契約条件を十分に理解した上で導入するのがポイントです。
厨房機器のリースについて、詳しくは以下記事をご覧ください。
参考記事:業務用厨房機器のリースとは?メリット・料金相場・購入との違い・おすすめのリース会社を解説
厨房機器の選び方における3つの注意点
厨房機器を選ぶ際は、価格や性能だけでなく以下の3点を総合的に確認することが重要です。
- 法令順守がされているか
- 設置環境との整合性があるか
- アフターサポートがあるか
「導入後に思わぬ落とし穴があった」という失敗を防ぐには、機能や費用だけでなく、法的基準や設置条件まで考慮した慎重な選定が欠かせません。それぞれの注意点について、具体的に解説します。
法令順守がされているか
厨房機器を導入する際は、食品衛生法や営業許可基準を満たしているかを必ず確認する必要があります。
例えば、二槽シンクや手洗い専用シンクの設置は、食品衛生法施行規則で義務付けられており、基準を満たさなければ営業許可が下りません。
また、冷蔵庫・冷凍庫の温度管理や衛生管理機器の配置も、保健所による立入検査の対象になります。基準を軽視すると開業が遅れたり、営業停止のリスクに直結したりします。
法律に準拠した厨房機器の選定は、安心して営業を続けるための最低条件です。
設置環境との整合性があるか
厨房機器は設置スペースやガス・水道・電気の環境に適したものを選ばなければ、効率的に使えません。
ガステーブルやフライヤーは、ガスの種類(都市ガス・LPガス)や換気設備に合わないと事故の危険があります。食器洗浄機や製氷機は給排水工事が必要で、床の勾配や排水経路も重要です。
さらに、電気式の加熱機器は専用回路や契約電力容量を確認しなければ稼働しないこともあります。
設置環境と整合しない機器を導入すると追加工事や営業トラブルを招くため、事前調査は必須です。
アフターサポートがあるか
厨房機器は毎日使用するため、故障時に迅速なアフターサポートがあるかどうかが長期運営の安心につながります。
業務用冷蔵庫やフライヤーが突然故障すると、食材の廃棄や営業停止に直結しかねません。サポート体制の整ったメーカーや販売店なら、24時間対応や代替機貸出しなどで損失を最小限に抑えられます。
また、定期点検やメンテナンス契約がある場合、耐用年数を延ばすことも可能です。
厨房機器選びでは価格だけで判断せず、保証内容やサービス範囲も必ず確認しましょう。
厨房機器の選び方のポイントを押さえ、失敗しない飲食店開業を
厨房機器の選定で失敗しないためには、業態や厨房レイアウトに応じた機器構成の見極めが欠かせません。
導入費用の抑制だけでなく、厨房機器の耐久性、メンテナンス性、清掃性といった運用面の視点も重要です。食品衛生法の基準やガス・水道工事の制約も加味し、機器ごとに適した設置計画を立てましょう。本記事が、読者の店舗にとって最適な厨房機器選びの一助となれば幸いです。