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2025/06/30

失敗しない厨房機器の選び方ガイド|飲食店開業時のチェックポイント&新品・中古・リースを比較

  • 厨房機器
厨房機器の選び方

厨房機器の選定は、単なる設備導入にとどまらず、作業効率や営業許可、ランニングコストにまで大きく影響する重要な判断項目です。特に、厨房スペースや動線、設置基準、衛生管理への配慮が不十分だと、思わぬトラブルにもつながりかねません。

では、飲食店にとって最適な厨房設備を選ぶには、何を基準に検討すべきなのでしょうか。
本記事では、飲食店の開業支援に強みを持つBizcanの知見をもとに、厨房機器の選び方と導入パターンをわかりやすく解説します。

目次

飲食店に必要な業務用厨房機器10選と選び方とは?

厨房

一般的な飲食店で必要な厨房機器一覧(基本設備)は以下のとおりです。

  • 業務用冷蔵庫・冷凍庫
  • ガステーブル/IHコンロ
  • フライヤー
  • グリドル/グリラー
  • シンク(二槽以上)
  • 作業台
  • 食器洗浄機
  • 製氷機
  • コールドテーブル
  • 排気フード/ダクト

厨房機器の選定においては、機器の種類や性能だけでなく、法的な基準も重要な検討事項です。以下に、営業許可に関わる主な基準を紹介します。

  • シンクは必ず二槽以上+手洗い専用を設置
    食品衛生法と各自治体の保健所基準にも準拠が必要です。シンクの基準について、「食品衛生法」には以下の記載があります。

 

“3 二次汚染の防止
(8)シンクは原則として用途別に相互汚染しないように設置すること。特に、加熱調理用食材、非加熱調理用食材、器具の洗浄等に用いるシンクを必ず別に設置すること。“

 

シンクの設置は衛生管理の基本です。開業前に必ず確認しておきましょう。

出典:食品衛生法第1条の3第2項の規定に基づく食品等事業者の記録の作成及び保存について

  • 冷蔵庫・冷凍庫は原材料と完成品を分けて保管できる構造が必要
    食中毒防止のため、交差汚染の可能性がある設備配置はできません。例えば、棚を区分けする、専用の容器を使用するなどの工夫が必要です。

参考サイト: HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き丨厚生労働省

  • 手洗い器には消毒液・ペーパータオル等の設置が必要
    手洗い器には、自動水栓やフットペダル式が推奨されます。

 

衛生管理に関する設備の設置基準を確認した後は、ガス・水道・電気といった工事関連の注意点についても把握しておきましょう。以下に、主な工事関連のポイントを紹介します。

  • ガス機器設置時は「都市ガス/LPガス」の種類を必ず確認し、誤接続による重大事故を防止
  • 給排水設備の工事が必要な機器(シンク、食洗機、製氷機など)は事前調査を実施
  • 電気機器導入時は契約電力容量を確認し、専用回路を用意
  • ダクト工事と換気設計時は消防法の防火基準も確認

上記の工事関連のポイントを踏まえると、厨房機器の導入は「購入して設置すればOK」ではなく、法令遵守と設備工事の調整が欠かせません。初期段階から保健所・設置業者・設計担当者の三者連携を行い、スムーズな開業を目指しましょう。

【業態別】厨房機器の選び方と比較ポイント

お店のタイプごとに、必要な厨房機器や選び方は異なります。

  • カフェに必要な厨房機器
  • 居酒屋に必要な厨房機器
  • ラーメン店に必要な厨房機器

以下では、各業態に適した厨房機器の選定・比較ポイントを具体的に解説します。

カフェに必要な厨房機器

カフェでは省スペースで調理効率の高い以下の厨房機器が必要です。

  • ドリップコーヒーマシン
  • エスプレッソマシン
  • 業務用冷蔵庫
  • 小型の製氷機
  • スチームコンベクションオーブン

上記のような代表的な厨房機器に加えて、軽食メニューを扱う場合はIHコンロや小型フライヤーも必要です。
限られた厨房スペースを有効活用できる厨房機器の選定が、カフェ運営の効率と品質に直結します。

 

参考記事:カフェ開業に必要な厨房機器リスト|選び方・保健所対応まで解説

参考記事:業務用冷蔵庫のおすすめ3選|種類・新品・中古・選び方も解説

居酒屋に必要な厨房機器

居酒屋では多品目の調理に対応できる厨房機器が必要です。

  • ガステーブ
  • フライヤー
  • グリラー
  • 冷蔵冷凍庫
  • コールドテーブル
  • 製氷機

上記の必須機器に加えて、串焼き用グリラーや揚げ物専用フライヤーなど、メニューに応じた厨房機器の導入により作業効率が向上します。料理の提供スピードを重視するため、耐久性と加熱スピードも選定基準として重要です。

 

参考記事:居酒屋開業に必要な厨房機器リスト|費用・選び方・設置のポイントまで解説

参考記事:業務用厨房機器フライヤーおすすめ5選|電気・ガス・卓上タイプまで違いと選び方を解説

ラーメン店に必要な厨房機器

ラーメン店にはスープや麺に特化した加熱・保温機器が必要です。

  • 茹で麺機
  • スープストッカー
  • 業務用冷蔵庫
  • ガスレンジ
  • 調理台
  • 二槽シンク

上記の厨房機器だけでなく、食器洗浄機やコールドテーブルの併用によって作業効率も高まります。
ラーメンは調理工程が決まっているため、作業動線に沿ったレイアウトと設置が重要です。

 

参考記事:ラーメン屋を開業するには?必要な資金や準備の流れと成功につなげる3つのポイント

参考記事:ラーメン屋開業に必要な厨房機器と費用相場|初期コストを抑える方法も解説

飲食店開業時の厨房機器の選び方で押さえておきたい5つの基準

厨房機器

飲食店を開業する際は、以下の基準に沿って厨房機器を選びましょう。

  • 1. 機能性・調理効率
  • 2. 設置スペース・動線
  • 3. 耐久性・メンテナンス性
  • 4. 衛生管理・清掃性
  • 5. 導入費用・ランニングコスト

それぞれのポイントについて、具体的に解説します。

1. 機能性・調理効率

厨房機器の機能性は、作業効率と料理の品質に直結します。厨房機器は単なる調理器具ではなく、店舗の運営効率に関わる重要な設備です。
例えば、スチームコンベクションオーブンは、多様なメニューに対応可能で、加熱ムラも抑制できます。機能の充実度により、仕込みの手間や提供スピードも変わる点を知っておきましょう。
調理効率を考慮した機能性の高い厨房機器を選べば、スタッフの作業負荷も軽減されます。

2. 設置スペース・動線

厨房機器は厨房のレイアウトと動線に適したサイズ・配置が必要です。
動線設計に合わない大型機器を導入すると、スタッフの移動効率が悪化し、業務に支障をきたしかねません。事前に厨房設計図と照らし合わせ、搬入経路や設置場所の寸法を把握しましょう。
厨房機器の選定は、スペースの有効活用と作業導線の確保がポイントです。

3. 耐久性・メンテナンス性

長く使える厨房機器を選ぶには、耐久性とメンテナンスのしやすさのチェックが欠かせません。
業務用厨房機器や調理機器は毎日高頻度で使用されるため、耐用年数やメーカー保証の有無は必ず確認しましょう。フィルターやパーツの交換は簡単な構造か、掃除はしやすいかなども判断基準の1つです。
故障リスクを下げ、長期間使用できる機器を選べば、結果的にコスト削減につながります。

4. 衛生管理・清掃性

食品衛生法に対応した清掃しやすい厨房機器選びも重要です。
二槽シンクやフットペダル式の水栓など、衛生管理に役立つ機器は多数あります。保健所の営業許可基準にも適合するかを必ず確認し、食べ残しや廃棄物など食品残渣のたまりやすい構造を避ける設計の機器がおすすめです。
衛生的な厨房環境を維持するには、清掃性の高い厨房機器の導入が欠かせません。

5. 導入費用・ランニングコスト

厨房機器は、導入費用だけでなく、ランニングコストまで見据えて選びましょう。
安価な厨房機器でも電気代や修理費がかさむケースがあり、結果的に高コストになる場合があります。エネルギー効率の良い製品や、省電力型の厨房機器を選べば、長期的なコストを抑えられるのがメリットです。
初期費用と運用コストをバランスよく考慮して厨房機器を決定しましょう。

飲食店の業務用厨房機器丨新品・中古・リースの選び方

新品・中古・リースの業務用厨房機器について、それぞれのメリット・デメリット・どんな店舗に向いているかをまとめた表が以下のとおりです。

種類 メリット デメリット 向いている店舗
新品 高性能・長期保証付き・最新機能あり 初期費用が高い 長期的運営を見据えた新規開業店
中古 初期費用を抑えられる・即納可能な在庫もあり 保証が短い・故障リスクが高い 初期コスト重視の小規模店・イベント出店
リース 初期費用が不要・メンテナンス付きプランあり 月額費用が発生・途中解約制限あり 資金に余裕がなく短期回収したい業態

「新品は価格が高い」と思われがちです。しかし、補助金・助成金を利用すれば、費用を抑えて新品の厨房機器を導入できるかもしれません。
飲食店が使える補助金・助成金について、詳しくは以下の記事で紹介しています。

 

参考記事:【2025年最新】厨房機器の導入で使える助成金・補助金5選|中小飲食店・個人事業主向け申請ガイド

厨房機器の選び方のポイントを押さえ、失敗しない飲食店開業を

厨房機器の選定で失敗しないためには、業態や厨房レイアウトに応じた機器構成の見極めが欠かせません。
導入費用の抑制だけでなく、厨房機器の耐久性、メンテナンス性、清掃性といった運用面の視点も重要です。食品衛生法の基準やガス・水道工事の制約も加味し、機器ごとに適した設置計画を立てましょう。本記事が、読者の店舗にとって最適な厨房機器選びの一助となれば幸いです。

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