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2025/04/16

【2025年最新】飲食店開業に利用できる補助金・助成金制度まとめ!自治体独自の制度も紹介

  • 飲食店開業支援
【2025年最新】飲食店開業に利用できる補助金・助成金制度まとめ!自治体独自の制度も紹介

飲食店を開業する際、自己資金だけで開業資金をまかなうのは難しいケースがほとんどです。開業資金を準備する選択肢として、日本政策金融公庫の創業融資の融資制度を活用する方も多いのではないでしょうか。

しかし、融資を利用すると結果的に返済が必要になるため、返済金の負担が生じる点に注意しなければなりません。

そこでおすすめなのが、飲食店開業に利用できる補助金・助成金制度の利用です。

本記事では、飲食店開業時に利用できる補助金・助成金制度について、国の制度や地方自治体が独自に運用している制度の情報を詳しく解説します。

飲食店開業支援のサービス紹介と比較
目次

飲食店開業に利用できる補助金・助成金制度とは?

飲食店開業に利用できる補助金・助成金制度とは、国や自治体が運営している事業者向けの資金支援制度のことです。制度によって申請・利用条件が定められており、要件を満たしている場合にのみ利用できます。

融資制度とは違い、貸与ではなく給付である点が特徴です。返済義務がないので、開業後に返済に追われる負担を軽減できるメリットがあります。

融資制度を利用する前に、利用できる補助金・助成金制度がないかチェックしておけば、融資を受ける金額の圧縮にもつながるでしょう。

参考記事:飲食店開業の資金はいくら必要?資金調達方法と自己資金の目安や補助金・助成金制度まとめ

【国の制度】飲食店開業時に利用できる補助金・助成金制度5選

飲食店開業時に利用できる補助金・助成金制度の中で、代表的なものを5選紹介します。制度によって申請要件や申請受付期間なども異なるので、利用する際は必ず確認しておきましょう。

IT導入補助金

IT導入補助金公式サイト

出典:IT導入補助金

IT導入補助金は、業務効率化や店舗のDX化に取り組む事業者を支援する制度です。中小企業や小規模事業者の労働生産性向上を目的に、運用されています。

業務効率化や生産性向上を目的に、事業用設備やシステムを導入するのであれば、業種を問わず利用できる点が特徴です。例えば、券売機やセルフレジ、POSレジなど、飲食店に必要な機器類を導入する場合「通常型」の支給要件に該当します。

通常型以外には、インボイス制度への対応を目的とした「インボイス枠(インボイス対応類型)」も利用可能です。会計・受発注・決済のいずれかの機能が備わっている機器類を、導入する場合に利用できます。

適用条件補助率上限金額
ソフトウェア導入費3/4以内、4/5以内※150万円※2
ソフトウェア導入費2/3以内50万円〜350万円以下※3※4
ハードウェア購入費1/2以内PC・タブレットなど:10万円
発券機・レジなど:20万円

※1 中小企業は3/4以内、小規模事業者は4/5以内
※2 「会計」・「受発注」・「決済」のうち1機能以上を有することが機能要件
※3 補助額50万円超の際の補助率は、補助額のうち50万円以下については3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超については2/3
※4 「会計」・「受発注」・「決済」のうち2機能以上を有することが機能要件

引用:インボイス枠(インボイス対応類型)|IT導入補助金2025

IT導入補助金の申請期間は、2025年3月31日(月)から5月12日(月)です。IT導入補助金を申請する際、手続きに不安がある場合は、IT導入支援事業者のサポートを行っている事業者も活用できます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金公式サイト

出典:小規模事業者持続化補助金

飲食店開業時に補助金・助成金制度を利用するなら、小規模事業者持続化補助金の活用も検討してみると良いでしょう。小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の安定的かつ持続的な経営を支援するために設けられた制度です。

創業時に利用できる「創業型」のほか、一般型(通常枠・災害支援枠(能登半島地震被災者向け))も設けられています。

一般型(通常枠)インボイス特例賃金引上げ特例創業型
補助額50万円 (特例込みで最大250万円)最大100万円最大200万円200万円 (特例込みで最大250万円)
補助率2/3(賃金引上げ特例活用事業者のうち赤字事業者は3/4)2/3(賃金引上げ特例活用事業者のうち赤字事業者は3/4)2/3(賃金引上げ特例活用事業者のうち赤字事業者は3/4)2/3

飲食店の場合、商業・サービス業に該当するため、常時雇用従業員数が5人以下の小規模飲食店であれば、創業型の支給対象です。

創業から3年以内であれば申請できます。第1回の申請受付期間は、2025年5月1日(木)から2025年6月3日(火)までです。 締切期日は変動する可能性があります。

ものづくり補助金

ものづくり補助金公式サイト

出典:ものづくり補助金|中小企業庁

ものづくり補助金も、中小企業や小規模事業者の支援を目的に運用されている制度です。この制度は、革新的な新製品・新サービスの開発を目的として、設備やシステムなどを導入した際に活用できます。

適用条件補助率上限金額
従業員 5人以下1/2
(3ヵ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員の数が全従業員数の30%以上の場合は2/3)
750万円(850万円)
6人~20人1,000万円(1,250万円)
21人以上50人1,500万円(2,500万円)
51人以上2,500万円(3,500万円)

※製品・サービス高付加価値化枠の補助率

※()内は大幅な賃上げ要件を満たした場合の上限額

補助対象に該当するのは、単価50万円(税抜)以上の設備投資を行った場合です。支給されるか否かは、審査により判断されるため、申請しても補助されないケースもあるので注意しましょう。

また、支給されても要件を満たせなかった場合、返還義務が生じます。そのため、革新的な新製品・新サービスの開発を目的に、制度を利用することが重要です。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金公式サイト

出典:キャリアアップ助成金|厚生労働省

キャリアアップ助成金は、雇用従業員のキャリアアップ(正社員登用)や、処遇改善(基本給の増額改定)などを行った際に資金助成が受けられる制度です。

 

◆全コース共通の事業者要件

  1. 雇用保険適用事業所の事業主
  2. 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主
    ※キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません。
  3. 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に提出した事業主
  4. 実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主
  5. キャリアアップ計画期間内に計画に記載した正社員化・処遇改善に取り組んだ事業主
    (支給申請時点で各コースに定めるすべての支給要件を満たしている事業主)

◆賃金規定等改定コースの支給額

有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合に助成されます。

賃金引上げ率
3%以上
4%未満
賃金引上げ率
4%以上
5%未満
賃金引上げ率
5%以上
6%未満
賃金引上げ率
6%以上
中小企業4万円5万円6.5万円7万円
大企業2.6万円3.3万円4.3万円4.6万円

※1年度1事業所当たりの支給申請上限人数100名

※1人あたり

キャリアアップ助成金の場合、申請期間は実際に賃金が支給された日の翌日から起算して、2カ月以内となります。

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金

出典:働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金は、企業の生産性向上や働く従業員の労働時間短縮に対する取り組みを支援するために設けられた制度です。

取り組む業務改革によって、以下4つのコースから選択できます。

  • 労働時間短縮・年休促進支援コース
  • 勤務間インターバル導入コース
  • 労働時間適正管理推進コース
  • 団体推進コース

飲食店に必要な券売機やセルフレジ、POSレジなどを導入する際、この助成金制度を利用する場合は、労働時間短縮・年休促進支援コースで申請します。時間外労働時間を80時間以下ないし60時間以下に減らしたり、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入したりして、働き方改革を推進しましょう。

  • 成果目標1から3の上限額および賃金加算額の合計額
  • 対象経費の合計額×補助率3/4
  • 常時使用している労働者数が30人以下かつ、特定の取り組みにかかった金額が30万円を超える場合の補助率は4/5

助成金の支給上限額は480万円です。常時使用する労働者数が30人以下の中小企業事業主では、以下の支給金額が適用されます。

引上げ人数1~3人4~6人7~10人11人~30人
3%以上引上げ30万円60万円100万円1人当たり10万円
(補助上限300万円)
5%以上引上げ48万円96万円160万円1人当たり16万円
(補助上限480万円)

また、令和7年度は、賃金の引上げ率に応じた新たな加算枠が設けられました。

  • 賃金を3%以上引上げた場合、労働者数に応じて、助成上限額を6万円~最大60万円加算。賃金を5%以上引上げた場合は、24万円~最大240万円加算、賃金を7%以上引上げた場合は、36万円~360万円加算。

引用:令和7年度 予算概算要求の主要事項|厚生労働省

【自治体独自の制度】飲食店開業時に利用できる補助金・助成金制度

飲食店開業時に利用できる補助金・助成金制度は、国だけでなく自治体でも独自に設けられているのも特徴です。ここでは、各自治体が独自に実施している補助金・助成金制度を紹介します。

東京都の飲食店開業時の補助金・助成金制度

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業公式サイト

出典:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業|東京都

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営している制度です。東京都独自の助成事業で、都内商店街で新規開業する女性および若手男性を支援しています。

例えば、店舗の工事費や設備・備品導入費のほか、店舗の賃借料など、経費の一部を助成してもらうことが可能です。東京都内の商店街活性化を目的としています。

◆支給対象者

  • 「女性」もしくは「年度末時点で39歳以下の男性」
  • 都内商店街で開業予定の個人(創業予定者もしくは個人事業主)
  • 独創的な事業プランを考え、主体的に商店街活性化に取り組む意欲のある方
  • 申請者は店舗の事業に専ら従事できること

引用:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業|東京都

大阪府の飲食店開業時の補助金・助成金制度

大阪起業家グローイングアップ補助金公式サイト

出典:大阪起業家グローイングアップ補助金|大阪府

大阪起業家グローイングアップ補助金は、大阪府内の事業者または大阪府内で起業する人を支援するために、大阪府が独自に設けている制度です。ビジネスプランコンテストの優秀提案者(優勝および準優勝者)も、支給要件に該当します。

  • 補助事業は、創業や新事業の展開に要する事業です。
  • 補助対象経費は、交付要綱の別表に掲げる創業等に要する経費です。ただし、消費税及び地方消費税を除きます。
  • 補助金の額は、補助対象経費の2分の1以内です。
  • 補助金の限度額は100万円または50万円です。
  • 補助金の交付を受けることができる期間は、1年間です。
    ※令和3年度ビジネスプランコンテスト受賞者の場合【補助金対象期間】令和4年4月1日から令和5年3月31日

引用:大阪起業家グローイングアップ補助金|大阪府

補助金を申請する時点で未創業の場合、交付決定日の翌日から1年以内に創業する必要があります。

兵庫県の飲食店開業時の補助金・助成金制度

兵庫県では、独自の補助金・助成金制度を設けている市が多くあります。

  • 姫路市:オフィス賃料等補助金
  • 西宮市:商店街若者・女性新規出店チャレンジ応援事業
  • 養父市:養父市企業等振興奨励制度
  • 丹波市:新規起業者支援事業補助金
  • 高砂市:高砂市空き店舗等活用支援事業補助金
  • 伊丹市:創業支援補助金
  • 宍粟市:はじめて起業を志す人を応援

上記はあくまで一例であり、ほかにもさまざまな支援事業が実施されています。お住まいの地域で利用できる補助金・助成金制度がないかチェックしてみると良いでしょう。

福岡県の飲食店開業時の補助金・助成金制度

福岡県でも、飲食店開業時に利用できる補助金・助成金制度を独自に設けています。

  • 岡垣町:岡垣町認知症カフェ運営補助金
  • 久留米市:中小企業共同事業等促進助成
  • 築上町:築上町キッチンカー購入費等補助金
  • 篠栗町:協働のまちづくり事業補助金
  • 朝倉市:朝倉市創業支援事業補助金
  • 福岡県:福岡県テイクアウト容器等に係るプラスチック代替品切替支援補助金

これら以外にも自治体ごとに独自に設けられた制度があるので、開業時に利用できるものがないか情報収集しておきましょう。

飲食店開業時に補助金・助成金制度を利用する際の注意点

飲食店を開業する際、補助金・助成金制度を利用するのであれば、以下の点に注意が必要です。

  • 申請要件に該当するか確認する
  • 申請期間内に申請手続きを行う
  • 事業計画書や提出書類の情報に間違い・漏れがないかチェックする
  • 基本的に一度利用した制度を再度利用することはできない

補助金・助成金制度は、制度によって申請要件や申請期間が異なります。常時申請を受け付けていないものもあるので、必ず確認しておきましょう。

提出書類に抜け・漏れがある場合、支給までに再提出が必要になって時間を要したり、審査落ちする原因になったりします。繰り返しチェックしておくことが大切です。

また、過去に同じ制度を利用したことがある場合、申請しても支給の対象外になるので注意しましょう。

まとめ

飲食店開業時に利用できる補助金・助成金制度は、国だけでなく自治体でも設けられています。開業する場所によって適用されるか否かが異なるため、自治体の制度を利用したい場合は必ず詳細を確認しておきましょう。

また、開業時に利用できる制度だけでなく、開業後に申請可能なものも多くあります。設備投資や店舗拡大などを検討しているときは、利用できる制度がないかリサーチしてみるのもおすすめです。

開業準備に追われていると、必要な手続きや準備を見落とす場合があります。以下の記事では、飲食店の開業時に確認しておきたい項目について、チェックリストとしてまとめていますのでぜひご活用ください。

参考記事:飲食店開業時のチェックリスト!準備の見落としを防ぐポイントを解説